戻る

有限要素法による二次元移流拡散方程式の解析


1 アルゴリズムの説明


1.1 基礎式

ここでは、次の非定常二元移流拡散方程式を対象としている.

         (1.1)

ただし、:濃度,:x方向の流速,:y方向の流速

:xy方向の拡散係数,:熱発生量 である.

境界条件としては次の二種類を考える.

                     (1.2)


ただしは濃度の固定値であり、

は境界での外向き法線方向余弦のxy成分である.

1.2 変形ガレルキン法による定式化

     (1.3)
             

(1.3)の時間積分スキームを導入し,式(1.1)の左辺の移流項を

右辺に移して外力項として扱い、さらに境界条件を考慮して定式化
すると
マトリックスの形で式(1.4)のように表される.

      (1.4)

ただし、 

     (対称マトリックス)

   である。

ここで要素ごとでの濃度こう配は、



* :タイム・スキーム・パラメータ、:一要素領域,

  :形状関数,:総要素数,:各要素ごとの節点数である.

1.3 形状関数と重み関数

(1)形状関数の決定

  解析の対象を図1.1のような三角形要素に分割して解析する。



 図1.1 要素分割の形状

    2 3   


図1.2 三角形1次要素
    

1.2に示す三角形要素内の任意の位置における
濃度
Cは次式で表される。

         (1.5)

ここではこの要素での補間関数であり

下記の理由から形状関数とも呼ばれる。いま,最も簡単な形状関数

として次式のようなの一次関数を考える。

                     (1.6)

ここでおよびは決定すべき9個の未知数である。

一方1.2での任意点(×点)を節点1に移動させると

(1.7)から次式を得る。

                (1.7)

同様に任意点を節点2に移動させて考えると式(1-7)から次式を得る。

               (1.8)

同様に任意点を節点3に移動させて考えると式(1-7)から次式を得る。

                    (1.9)

すなわち式(1.9)(1.11)9個の関係式から得られるため

これを解いて結局9個の未知係数が求まる。

よって式
(1.8)よりは次のようになる。
  
       
                  (1.10)


                       (1.11)

            (1.12)


2)面積座標と形状関数

    面積座標図1.3において式(1.15)のように定義される。


     

図1.3 面積座標

                 (1.13)

ここでであることから結局次式が成り立つ。

                       (1.14)

いっぽう図1.3での面積は次式で表される。

               (1.15)

ただし,     (1.16)

同様にも表せるので一般的な関係式として次式が成り立つ。

                  (1.17)

したがって(1.12)と式(1.17)より三角形一次要素の場合には
という関係があることがわかる。

一方面積座標の積分には公式として次式が与えられる。

                   (1.18)

l,m,n:0以上の整数)

ガレルキン法の場合には重み関数として形状関数と同じ関数をとり

さらに三角形一次要素の場合には形状関数は面積座標と同じ関数となる。

したがって最終的に必要な関数は面積座標であることがわかる。

以 上