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1.2 重み付き残差法と残差方程式


 F.E.M.(有限要素法)による考え方を紹介するために、
もっとも簡単な例として式(1)の定常一次元熱伝導問題を
式(2)の境界条件で解くことを考えます。


         wpe556.jpg (1766 バイト)      ・・・(1)
θ(0)=θ およびθ(H)=θ ・・(2)

 ここでQは熱の発生項を表しています。 いま式(1)を直接解く
代わりに、重み付き残差法の考え方により次式の重み付き
残差方程式を解くことを考えます。

 wpe557.jpg (3015 バイト) ・・・(3)

 なおここで”マイナス”の符号がついているのは、後述での
表現より便利な形にするためです。ここで重み付き残差法に
おける「残差」とは、いまθの数値解θ*をに代入した際の
右辺の値---すなわち「計算誤差」---のことをさします。

いっぽう「重み付き〜」という言葉は次のように
解釈することができます。

まず「平均値」という考え方は次式で表されます。

    wpe55B.jpg (1695 バイト) ・・・(4)


 すなわちn個のθの値についての平均値です。
それでは次式はどうでしょうか。

 wpe55C.jpg (2750 バイト) ・・・(5)

 ここでWiは重みパラメータであり、 wpe55D.jpg (855 バイト)は重み付き平均と
よばれます。そして、たとえばWi=1(i=1〜n)であるならば
式(5)は式(4)と一致します。

次に「残差」という言葉を考えましょう。もしθが
真の解であるならば式(1) の右辺---すなわち「残差」---は
ゼロとなります。しかし数値計算の結果得られる数値解θ*を
式(1)の左辺に代入して得られる右辺の値はゼロには
ならず「残差」として定義されます。

つぎにこの残差(εi)を何らかの重みパラメータWiを
用いてその重み付き平均の残差を考え、その値をゼロとした
次式を考えましょう。


 wpe55E.jpg (2894 バイト) ・・・(6)


 これは式(5)より計算領域内での重み付き平均での計算誤差
(残差)をゼロとしていることに相当しますが、結局式(6)より、
つぎの関係式を得ます。

 wpe55F.jpg (1806 バイト) ・・・(7)


 そうしますと、式(3) は式(7)の離散化表現であるΣを
連続量と しての全計算領域(x=0〜H)での積分量として表現
したものと解釈することができ、この意 味で式(3)を重み付き
残差方程式
とよんでいます。

すなわち式(3)は解くべき方程式(式(1))を直接解くのでは
なく、その計算誤差を重み付き平均(式(5))の意味でゼロ
となるように変形していることになります。(なお式(3)での
マイナスは式変形の都合上のものです。) 

ここで式(3)のW(x)は重み関数とよばれます。いっぽう
θは図1の一次元要素において形状関数Ni(x)を用いて次の
ように表されるものと考えます。

1.2

図1 一次元要素

θ=Ni(x)・θi+Ni(x)・θj ・・・(8)


 ただし、θi,θjは図1での節点(i),(j)での値です。