さいはてに、遅い春がとうとうやってきた。
ここ連日、気温も上昇していて、15℃くらいあったようだし、札幌や旭川では25℃まで達したとのこと。
これは春の訪れというよりは、いきなり夏がきたという感じであろう。
ゴールデンウィークに相模原へ行って、気温29℃となった5月1日は、稚内では「みぞれまじりの雪」で、かなり寒かったそうである。
でも、5月半ばにして、やっと人間が住みやすい気候となったことを素直に喜びたいし、週末は「稚内公園」に咲いているであろうサクラを写しに行かなくちゃ。
「稚内公園のエゾヤマザクラは、咲いたという情報があったら、すぐに行かないと見られませんよ。」
「えっ? どうしてですか。」
「ご存知のとおり、稚内は風の強さがはんぱじゃないので、花びらがすぐ飛んでしまいますからね。」
ジョークではなく、ほんとうの話である。
日本のさいはてに咲くサクラを見てみたい。そして、カメラに収めたい。
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「稚内公園のサクラもある意味では見ものですが、となりまち『豊富町』のキャンプ場『兜沼(かぶとぬま)公園』のサクラもいいですよ。」
兜沼公園は、去年の秋にサロベツ原野からの帰りに訪れたことがある。
でも、そのときは入り口が閉鎖されていて、いわゆる「シーズンオフ」で入ることができなかった苦い経験がある。
ひと冬越して、緑が萌えだした今が生命の息吹きを感じる良い季節かもしれない。
函館に住んでいたころは、だいたい4月20日を過ぎたころが春を一番感じる時期であるが、稚内はそれより1ケ月ほど遅いということになる。同じ北海道というカテゴリーであっても、南と北では1ケ月の差が生じていることは、ある意味では驚くべきことではないだろうか。
それから、ふと気づいたことなのだが、こちらのたんぽぽはこころなしか小さいような気がする。
4月のはじめに仕事場が市内移転したので、通勤手段がクルマから徒歩となった。
経路は、緑地公園を横断するコースを選択した。暖かくなった今週あたりから、芝生の緑があさやかになりつつある。
緑の芝生に自生する黄色いたんぽぽ群に目をやれば、さいはての遅い春を感じることができる。
本州ではこれからうっとおしい梅雨入りが近づいているというのに、さいはては春本番である。
サクラやたんぽぽにはじまり、礼文島の高山植物、幌延(ほろのべ)町の「ブルーポピー」、そして、花ではないけど、豊富町の「大規模草地牧場」と散策する場所がめじろ押しの季節である。
そして、そのあとには「サロベツ原野」が控えている。
春のオホーツク街道もいいし、オホーツクの海を堪能したい。
それから、200キロ以上の距離があるけれど、紋別市の近くにある滝之上町の「芝桜」と上湧別町の「チューリップ」も見てみたい。
が、欲張りすぎるとろくなことがないので、来年に譲るとするか。
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週末は、15℃以上はあったような陽気だった。
このポカポカ陽気で、「半そで」に衣替えした地元の人がけっこういた。
食料品の買出しにスーパーへ行ったら、若い人たちの半分以上が半そで姿だった。年寄りの僕は、長そでシャツにジャンパー姿。
でも、いくらなんでも半そでは寒すぎないだろうか。
根室で仕事をしていたころの話。
釧路や根室のいわゆる「道東(どうとう:北海道東部の意)」の夏は暑くても25℃を超えることはめったになく、ほとんどは20℃前後で推移する。
転勤族のひとりである僕は、ひと夏をほとんど長そでで暮らした。半そではせいぜい1週間くらいだったと記憶する。
セーターでも着ないと肌寒い夏の日に、知り合いの根室っ子は半そで姿だった。
「おい、寒くないかい? 今日は18℃くらいだよ。」
「鍛え方が違うから大丈夫。それに、半そでを着られる日って今しかないからね。」
彼の半そで姿を見ている僕のほうが寒くなった。
それと同じ考えなのかどうかわからないが、それにしても稚内っ子の半そではちょっと早すぎるんじゃないのかい。
しかし、半そでが少数だったらそう考えるのは当然かもしれないが、かなりの数であれば、別に違和感がないのも不思議だ。おじさんのよけいな詮索として処理しよう。
さあ、思いっきりアウトドアだ!