ひとりおもふ
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シルエット・ロマンス

  スーパーへ食料品の買い物に行き、レジを終えると店員さんが、

 『レジ袋はお入りでしょうか。』

と、たずねるので、

 『はい。』

と、うなずくと、レジ袋が数枚、プラスチックかごへ入れられる。

 この見慣れたやりとりが、やがてなくなろうとしている。

 レジスターの脇に、なにげなく飾られている「マイバッグ」。

 1枚200円前後の表示がある。

 つまり、このマイバッグを購入し、買い物袋として利用することで、レジ袋の使用機会を減らし、地球環境に貢献しようということである。

 あるスーパーでは、レジ袋が有料となったところもある。

 家に帰り、食料品を仕分けし終えると、そのレジ袋はゴミ袋に利用されるか、あるいはそのままゴミとして処理される運命をたどる。

 函館では、「燃やせるゴミ」と「燃やせないゴミ」は、それぞれピンクと緑の有料ポリ袋(20リットル/10枚で400円)で出すことになっているので、レジ袋は、無料で回収する「プラスチック容器」と「ペットボトル」等の資源ゴミ用に利用されることになる。

 今は女房殿と一緒に暮らしているので、そこそこにゴミが発生しているが、ひとり身だったころは、週2回の「燃やせるゴミ」回収日に10リットル1袋程度で済んだことから、スーパーのレジ袋はどんどん貯まる一方であった。

 だが、あるきっかけで、それが解消されることとなった。

 つまり、我が家も「エコライフ」の仲間入りを果たすこととなったのだ。

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 今年のゴールデンウィークに、札幌と苫小牧の叔父夫妻とともに、苫小牧の義父母が女房の見舞がてら函館へやってきた。

 ちょうど、女房の一時帰宅が許可されることになったので、それと日付をあわすかたちでの来函となった。

 3LDKに、僕ら夫婦を含めた計8名が寝泊まりしたのだが、朝食を担当してくれた札幌の叔母が、キッチンに置かれているプラスチックかごを指差しながら、こう言った。

 『レジ袋がいっぱいあるんだね。』

 『ゴミ袋用にストックしているんだけど、ひとり身なんで増える一方なんだよね。』

 『少しもらっていってもいい?』

 『全部持ってってください。』

 『ありがとう。レジ袋も夏あたりから有料になるから、貴重品になるんだよね。』

 結局、叔母は全部持っていった。

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 『そう言えば、札幌の叔母ちゃん言ってたけど、レジ袋、そのうち有料になるんだよねえ。せいきょうのレジ脇に「マイバッグ」があったけど、おかあさん、あれ、買う?』

 6月に入って、女房が退院して自宅療養となり、元気なときは近くのせいきょうへ一緒に買い物へ出かけることが多くなった。

 『「マイバッグ」を買うくらいだったら、プラスチック製の「買い物かご」にしたほうがいいよ。「買い物かご」だとポイントもたまるし。』

 『いったい、いくらくらいするんだろうね。』

 そんな会話をしながらレジへ進むと、近くのサービスカウンターにプラスチック製の黄色い買い物かごが陳列されているのが見えた。

 いつものようにレジを終えて、レジ袋に食料品を詰め、それを載せたカートを押しながら、そのサービスカウンター向かった。

 『いつもは300円で販売しているんですが、今日は特別200円でお売りしております。』

 店員の「特別200円」という言葉に、こころがぐらっとして、即購入した。

 その日以降、クルマの後部座席にはその黄色い買い物かごが同乗することになった。

 たしかに、我が家の「エコライフ」推進にはなったが、付随するメリットを発見した。

 購入した食料品をレジ係の人が我が家の黄色い買い物かごに入れ替えて、そのまま持ち帰ることができるのである。

 つまり、レジ袋に詰め替えることをしなくてもよいので、その時間が節約されるのだ。

 そして、ポイントが加算されるのである。

 せいきょうに関しては、道内では苫小牧ともう一か所が8月からレジ袋の有料化に踏み切っていて、10月からは全道一律有料化となる。

 やっぱり、先見の目があったのか。

 とかなんとか偉そうなこと言うけど、結局は「特別200円」にぐらっときた結果なのである。