ひとりおもふ
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シルエット・ロマンス

  ホームセンターで、キャンプ用の折りたたみイスを買った。

 1脚だけ買って何に使うのかと、女房に尋ねられた。

 その2・3日前の新聞の折り込み広告を眺めているうちに、ホームセンターのキャンプ用品に目が止まった。

 それも、両肘付きのキャンピング・チェアーというのだろうか。

 「1脚2,980円のところ、大特価1,280円!」

 このイスを買って、6階のベランダに設置し、暑い夏の昼下がりに腰掛けて、眼前に広がる青い津軽海峡を望みながら、缶ビールを「カァ〜ア〜」と飲んだら、サイコーに気持ちいいだろうなあ。

 そのことを女房に話したら、あきれられた。

 『食卓の折りたたみイスじゃあ、だめなの?』

 『気分の問題だべぇ、気分の・・・』

 100人のビール大好き男のうち、おそらく99人がそう思うにちがいない。

 男のロマンだべさ!

 そう言ってみても、おそらく通じないだろうな。

 何て表現したらいいのか見当もつかないが、たとえでは、

 「寒い冬に、ちゃんちゃんこを着て、こたつにまるまって、みかんを食べるようなもの」

と、言ったらわかってくれるだろうか。

 『何、言ってるのよぉ! こたつとイスとでは全然違うじゃないの!』

 そんな答えが聞こえてきそうだが。

★★★★★

 どうやら、夏の季節だけ、そんなことを思ってしまうのだろう。

 これが秋や、まして冬には絶対に思わない。

 それらの季節は、窓越しで眺めているだけで十分である。

 「夏だから」の限定的思いなのだろう。

 ベランダのカーテンを開けると、青い津軽海峡がいつも望めるって、海大好きのKさんに話したら、おそらく口もきいてくれずに「絶交」されるにちがいない。

 『いいよね! エジちゃんは。いいよね! エジちゃんは。』

 それで、ベランダに設置したイスに座って、缶ビールを飲みながら口ずさむ歌って・・・。

 ♪〜う〜み〜は、すてきだなぁ〜 こ〜いしてるからさぁ〜♪

 缶ビールをガンガン飲む気持ちは毛頭ない。

 過度のほろ酔い気分で、ハマかぜに吹かれていたい。

 「湘南マリリン」さんの住んでおられるところも海沿いだから、ハマかぜが入ってきて気持ちがいいらしく、もちろんエアコンもほとんど必要ないとか。

 海の近くに住んでいることのメリットは、このことにつきるのだろうと思う。

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 生きていくうえで、仕事をしていくうえで、なんだかこのごろ、「疲れてきたなあ」という疲労感が、毎週木曜の夜あたりから発生してくる。

 日曜の昼あたりには回復してくるのだが、やっぱりトシなのかなあと思ってみたりする。

 ストレスは、スポーツジム通いで発散されているから問題ないので、要するに「リフレッシュ」が必要なのだろうか。

 日々の暮らしのなかで、現代人は心身ともに確実に病んでいるのだろう。

 もうすこしで、僕の夏休みがはじまる。

 52歳の夏は、両肘付きのキャンピング・チェアーで、リフレッシュするか!

 ♪〜うみよ〜 オレのうみよ〜 おおきな そのあ〜いでぇ〜♪