ひとりおもふ
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シルエット・ロマンス

 北海道日本ハムのパ・リーグ2連覇が先行したため、コンサドーレ札幌のJ1復帰が地元マスメディアで大きく取り上げられなかったような気がする。

 でも、コンサドーレ・ファンにしてみれば、6年ぶりの待望のJ1復帰なので、涙チョチョギレの万歳三唱をやっても、まだまだおつりが十分くるような、それだけ感極まる出来事なのである。

 思えば、2002年のJ1降格という屈辱から這い上がってくるまでの5年間は、選手たちもサポーター群もイバラの道だったと思うし、よくここまで耐えてきたと思っている。

 ましてその間に、北海道のプロスポーツ界は、日本ハムの北海道移転というビッグニュースが常にクローズアップされ、プロスポーツ第一弾のコンサドーレは、北海道の隅っこで小さくなっていなければならない「氷河期」時代に突入していた時期でもあった。

 しかし、そんなことはもうどうでもいいくらいの大歓喜が、これまでの5年間の苦しいことやいやなことを、ぜ〜んぶ水に流してくれたことに間違いはない。

 コンサドーレ、J1復帰、ほんとうにおめでとう!
 選手たち、よくやった! ごくろうさん!
 夢は、必ずかなうんだよね。ありがとう!

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 年が明けて2008年となり、J1の開幕カード(3月8日)を見て、仰天してしまった。

 ななんと、昨年の覇者、鹿島アントラーズといきなりぶつかるではないか。

 しかし、これはどうも恒例なのだそうだ。

 開幕は、J1覇者とJ2覇者とが対戦することになっているそうだ。

 「洗礼」というやつであるが、J1新規参入ならまだしも、復帰チームまでそういうことをやるのかい! それも、アントラーズの本拠地「鹿島スタジアム」でさ。

 でも、開幕戦で是非、ひと波乱起こしてほしいなと、実は願っている。

 相手は昨年の覇者アントラーズであり、アウエイ(敵地)であり、ましてキャンプ地から直行するという不利な条件がそろっている開幕戦なので、おそらくは勝てないだろうから、せめて「引き分け」てくれれば、それでいいと思っている。

 だが、J1と言えば、やっぱりというか、湘南マリリンさん御用達の横浜F・マリノスとの対戦が必ずやってくると、内心よろこんでいたのだが、これも、ななんと、間髪入れず、第2戦(3月15日:札幌ドーム)でぶつかることになった。

そのときは、彼女と僕とは「敵味方」として当然のごとく「フィールド」をはさんで応援することになるわけで、コンサドーレが実際にJ1へ復帰したら、それが現実化することを気にも留めなかったはずなのに、いざとなったら、これは大変なことなのだと、今から火花が飛び交いはじめている。

マリリンさんは、「敵地サッポロ」まで乗込んで応援にやってくるのだろうか。

来るのであれば、僕も負けてはいられない。受けてたちましょう。

 でも、野球で言えば、ジャイアンツ対セリーグ他球団のような険悪な雰囲気ではないので、お互いに楽しめる応援合戦が期待できそうだ。

 マリリンさん、負けないぞ!

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 J1復帰を果たしたコンサドーレは、3月8日の開幕から強豪相手に試合を積み重ねていくこととなるが、5月のGWまでには第一段階のまず評価が表面化されるはずであり、その時点で中盤の順位くらいに位置していれば、そのままの体制で夏まで試合に挑むことになるだろうが、勝ち点を積み重ねることができずに下位を迷走している状態であれば、これは監督責任ということで監督の更迭は逃れられない事態となる。

 となれば、最悪のシナリオは、一年でJ2降格という非常事態。
 当然のごとく、この最悪のシナリオだけは回避したい。

 そこで、問題となるのは、今シーズンからの新戦力がそれなりに活躍するかどうかであろうが、日本人選手の「当たりはずれ」は別として、FWダヴィとコンビを組むブラジルからの助っ人ノナトが未知数であるという不安材料。

 プレーさせないとわからないが、全然お呼びでない状態であれば、これはチームのJ1残留に関わることであるので、直ちに解雇して、人材を補充しなければならないはめとなる。

 この問題が、チームが躍進するか、それとも低迷するかのキーポイントであることは言うまでもなく、故に、助っ人の手っ取り早い獲得策としては、以前に日本でプレーしたことがある「実績」がものをいうわけである。

 日本人選手の場合は、J2に降格した3チームからの引き抜きも可能であるので、故障持ちでない限り、まず安全パイと言える。

 今季ストーブリーグでは、オシム体制が崩壊したジェフ千葉と、J2に降格したサンフレッチェ広島からの引き抜きが目玉となった。

 いずれのチームもバリバリの日本代表選手を擁していたので、主力選手放出後の弱体化が心配されることは言うまでもない。

 この点がプロ野球と大きく違うわけで、良き指導者が去ったチームやカネ(資金力)がないチームの残された道は、単純に弱体化するか、それとも有力選手を放出することによって得たカネをチーム運営費に充ててしのぐか、そういうかたちしか残されていない。

 2002年にJ2へ降格したコンサドーレは、極端な赤字財政穴埋めのため、現横浜Fマリノスの主力である山瀬、現FC東京の看板選手今野らを「売却」した経緯があり、また、魅力のないチーム作りにいやけをさして自ら新天地を求めて飛び出した現ガンバ大阪のGK藤ケ谷や現ヴィッセル神戸のFW幡戸、この理由も要因のひとつとなって、J2での低迷を余儀なくされたわけである。

 また、コンサドーレの場合は、J1のレベルになじむかどうかという課題もある。

 今シーズン、同じくして昇格した東京ヴェルディは3年ぶりの復帰で、その財力にものを言わせた大幅な選手補強を行ったし(バックが日本テレビじゃけんのう)、2年ぶりの復帰となった京都サンガも鹿島アントラーズから柳沢を獲得するなどの補強を行い(バックが京セラと任天堂じゃけんのう)、J1に順応すべく施策を履行している。

 しかし、コンサドーレには、悲しいかな有力選手を補強するだけのカネがないので、下馬評では1年で「J2へ復帰」とささやかれているのが現状である。

 加えて、2億円の借金を1年でチャラにする条件付きの昇格。

 つまり、J1のクラブチームは、健全な財政事情が前提であるので、昇格時に1年で借金を返還するという誓約のうえに成り立っているわけである。

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 選手たちが試合をし、一体となったサポーターがそれを盛り上げていく。

 サッカーというものは、単純にそれだけのものであってほしい。

 そう願っているのは、マリリンさんも同感だと思うし、全国のサッカーファンも同じだと思う。

 そして、6年ぶりのJ1の晴れ舞台で、コンサドーレは、借金とかのいろんな問題を気にせずに、全力を出し切って、のびのびとプレーしてほしい。

 夢がかなったあとのこの1年、サポーターが素敵な「ゆれる想い」状態で「うたたね」できることを願っている。

 がんばれ! コンサドーレ札幌!