季節のなかで
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季節のなかで

旧JR函館駅


 「函館のマチを歩いてみたい。」


 電話越しで、いつもそうつぶやいていたキミ。


 「はるばるきたよ〜!」


 空港の到着ロビーで、笑顔満面で手を振るキミ。


 「気持ちいい日差しだよね。やっぱ、北海道だ〜!」

 
はじめて訪れる函館の、初夏のおいしい空気をいっぱい吸いこむキミ。

 
異国情緒あふれるこのマチを、おもいっきり楽しんでいってほしい。

 
新しもの好きで、すぐ冷めやすく、おせっかいなほど世話好きな函館っ子のマチを散策してほしい。

 
「辻仁成の『愛をください』で想像したイメージどおりの街並みだね。」

 
基次郎が病床で眺めた街並みはどんな風景だったのだろう。そして、基次郎に会いたい一心で東京からやってきた李理香を迎えた街並みはどんな風景だったのだろう。

 
キミが見た、キミが感じた函館を、いつまでも胸に刻んでいてほしい。

 
「楽しかった、ありがとう! で、すぐまた、来るからね。」

 
いたずらっぽく笑い、スポットへ消えて行くキミには、このマチがよく似合う。

 
キミが明日を見失ったときは、いつでも探しに来てほしい。

 
このマチは、いつもあたたかく迎えてくれる。


函館山山頂

マチ写真集4
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