ひとりおもふ
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シルエット・ロマンス

 オオワシは一度も舞い降りることなく、冬が過ぎようとしている。

 冬の次は、もちろん春にきまっている。

 51年間生きてきたけど、この法則に狂いはない。

 今年は、やっぱり暖冬だったのか、例年より半月くらい早く春がきそうな暖かさだ。

 道路の雪もほとんどなくなって、昼間だけの走行なら、スタッドレスタイヤから夏タイヤへ交換しても大丈夫のような気がする。

 それから、防寒衣も毛糸の帽子も、ゆきこさんの手編みマフラーもぜんぶまとめてクリーニング店へ持っていこう。

 春だ!

 こんなに陽ざしがまぶしくて、気持ちがいいなんて、やっぱり春なんだ。

 だから、週末はプチドライブして、道路わきに芽を出しはじめた「春」を探しに行ってみようか。

 ♪ あう〜 あう〜 はる う・ら・ら〜 ♪

 30年くらい前に流行った田山雅充の「春うらら」を歌いたくなった。

 森山直太朗の「さくら」も、中島美嘉の「桜色舞うころ」も、そして、コブクロの「さくら」も、まだ早い。

 やはり、この時期は「春うらら」か、キャンディーズの「春一番」だろう。

 100連敗以上もした、あの高知競馬場の「ハルウララ」は、その余生を乗馬ランドで過ごしているという。

 また、キャンディーズの3人は僕と年代が同じであり、それ故に、今流行りの再結成をしたらどうしようかという余計な心配をしてしまう。

おそらくは、当時ピンクレディーに対抗したあの超ミニスカート姿で歌うわけがないと思う反面、『世の中、何が起こるかわからない。』と、ひそかにそれを期待しているもう一人の自分がいたりする。

もし、ほんとうにそうなったら、うろたえつつ、クラクラとめまいがしつつも、しっかりとまなこを開けてテレビの前に釘付け状態になるのではないだろうか。

不安と願望が入り混じった複雑な思いとは、こういうことなのだろうか。

いや、そういうことを考えてしまうから、だから、「おやじ」と言われるのだろう。自戒。

★★★★★

 東京ではサクラが満開のようで、相模原に住む娘から、駅ウラに咲くサクラの写メールをとどけるとあったけど、まだきていない。おそらく忙しさで忘れているのだろう。

 去年のゴールデン・ウィークに、僕がその駅ウラで観たのは散りかけた「八重桜」だった。

 この時期のさいはてでは、サクラなんかまだまだ蕾どころではない。

「やっとお目覚めになられました。」であろう。

 サロベツは、まだまだ雪に埋もれているのだろう・・・。

 そういうメランコリーな空気のなかで「とき」を過ごしていたら、「かやぶきおじさん」が突然サイトを閉鎖すると告知された。

 インターネットという時空での出来事とはいえ、「まさか」が現実となることへの対応ができずに、僕はうろたえた。

 僕がはじめて個人のサイトへアクセスし、掲示板というものを知り、「エジちゃん」というハンドルネームで投稿したのは、2003年4月だったと思う。

 函館在住の「YURI」さんという主婦の方が主宰されるそのサイトには、夏の陽ざしのようなまぶしさがあったし、ご自分が何故サイトを開設しているかを明確に示していることも魅力的な要素だった。

 そして、初夏には「羽村ばぁば」さんのサイトにたどりつき、秋には「keito」さん、そして、「かやぶきおじさん」へとつながっていった。

 「YURI」さんは、2004年の初夏に惜しまれつつサイトを閉鎖したが、僕にとってはこの4名の方から受けた影響が大きかったので、今回の「かやぶきおじさん」の突然のサイト閉鎖にかなり落胆してしまった。

 『エジちゃん、貴方の写真には暖かさがある。だから、思い切ってホームページを開設されてみてはどうかのう。』

 『おじさんの言うとおり。無理にとは言いませんが、是非ご検討してくださいね。ホームページ開設についての技術的なことは、この私がアドバイスさせていただきますよ。』

 『おやおや、エジちゃんがホームページを開設されるんでしたら、きっとにぎやかになりそうですね。』

 使い込んでいたパソコンが限界だったので入れ替えしたこともあり、2004年11月に僕は、自身のサイト「きたくらぶ」を開設した。

 開設してから、「ローレルさん」、「さなえさん」、「Yasukoさん」、「みーこママさん」、「fuuさん」、そして、横浜F・マリノスつながりの「湘南マリリンさん」と、友だちの輪が拡がった。

 順調に見えたホームページ運営だったが、去年の1月ころに、掲示板にいやがらせとも思える変な書き込みが続いたため、僕は2月にサイトを突然閉じた。

 情けない話だが、掲示板でのやりとりをおちょくる「ヤカラ」が同じ勤め先にいたことが最大の理由だった。

 大幅リニューアルを敢行し、掲示板抜きのサイトを4月に再開した。

 が、僕は何のためにサイトを再開したのかということについては、『さいはての自然を全国の仲間に観てもらいたい。』と、ただそれだけの理由しかなかった。だから、いつでも閉鎖する気持ちを隣り合わせていた。

 5月になって、僕のサイトに掲載する写真を眺めるのが好きだという函館に住む少女と出会った。「まゆちゃん」だった。

 僕は、写真好きな彼女をサイト仲間にも是非紹介したいと掲示板を再開した。

 もちろん、「パスワード方式」はkeitoさんのアドバイスであり、これにより変な「ヤカラ」がのぞき見することできなくなったので、安心して書き込みができるようになった。

 まゆちゃんが撮影した写真も送られてくるようになり、「コラボる」に「まゆちゃんの世界」として紹介することもできた。

 彼女の、その繊細な感性が伝わってくるような不思議で魅力のある写真に、多くの仲間から拍手をいただいた。

 その彼女は、最近では学業に忙しいのか、好きな写真撮影がおろそかになっているという。

彼女とは、現在、メールでやりとりする日々が続いているが、季節は冬から春へと移り変わった。

 自転車に乗って、函館の好きな風景や草花を撮影して、僕に送ってほしいとメールした。

 インターネットを通じた時空の、それも父娘のような年齢差の「おともだち」なんだけど、いつもすぐとなりにいるような存在を感じる。

 その彼女も、この4月に中学3年生へ進級し、来年は「15の春」を迎える。



 胸を張って、前を向いて歩いていこうね。

 いいことあるさって、いう感じでね。

 たまには空を見上げて、自分の位置を確かめることも必要。

 たまには道端に咲く花を眺めるために立ち止まることも必要。

 そんなにあせることなく、すこしずつ歩いていこうよ。

 きっと、いいことあるさって、いう感じでね。

 疲れてきたら、僕がうしろから押してあげるからね。

 笑いたいときは笑って、泣きたいときは泣いて

 素直な自分になって、

 そうして、胸を張って、歩いていこうね。








mayu-chan