ひとりおもふ
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幻の「キラク」
 「FMいるか」の看板パーソナリティ「佐々木 紫(ささき ゆかり)」が辞めたことを知ったのは、稚内に戻ってからの8月29日だった。

 「FMいるか」は、今から13年前に、日本初のローカルコミュニティFM局として函館で開局され、これがきっかけで、ローカルFM局がその後全国に次々と誕生していった。

 彼女とは仕事の関係で知り合ったが、素敵なレディであることは言うまでもなく、声質や知識などパーソナリティとしての才能もかなりのものであったと思うので、辞めたことを知って僕はかなりショックだった。

 辞めた理由については定かでないが、今年30歳だったと思うので、おそらくは好きな男性と結ばれるのだろうと信じている。

 僕がはじめてお会いしたのは今からおよそ6年前で、当時はキュートなお嬢さんという印象だったが、番組をこなしていくなかで、魅力的なレディに育っていった。

 彼女が一番苦しかったであろう時期は、おそらくは「お姉さん」のように慕っていた「FMいるか」の当時の看板パーソナリティが大麻所持で逮捕されたときだったろうと察する。

 大麻所持のいきさつも、元カレから一方的に送られてきたクリスマスプレゼントの大麻を自室に放置していたら、それを元カレからチクられて、それで御用となったとのこと。もちろん、一度も吸ったことがなかったという。

 そのときの紫(ゆかり)の苦悩は、僕が聴いていた番組のなかで十分伝わっていたし、なぐさめの言葉も見失うほど、ほんとうに痛々しかった。

 その苦難を乗り越えて、彼女はパーソナリティとして徐々に成長し、「FMいるか」の看板パーソナリティとなった。

 そういえば、今夏、函館へ旅行したときに真っ先に聴いた「FMいるか」でいつもの時間帯に、彼女の声が聴こえていなかったことにちょっと首をかしげたが、そのときはまさか辞めたとはこれっぽっちも思ってもいなかった。

 もし、辞めることをそのとき知っていれば、「おつかれさま」と言ってやりたかった。

また、いつか函館市内のどこかできっと会えるだろうから、そのときまで、笑顔の似合う素敵な女性でいてほしい。お幸せに。

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正直に言うと、僕はホームページ(HP)を開設するまで花に興味をほとんど持っていなかった。ただ、娘に花の名前を聞かれたときに答えられるくらいの知識は持とうといつも思っていたが。

 HPは2004年11月に開設した。
 
四季の風景が好きだったので、風景写真をメインとしたHPにしようとイメージした。

もともとHPを開設するつもりはなかったが、個人サイトを訪問しているうちに、自分でも開設してみようかと考えるようになった。

羽村ばぁばさんやかやぶきおじさんらの強い勧めで開設する決心がついたので、『ホームページビルダー8』を購入し、技術的なことをkeitoさんから指導していただき開設の運びとなった。

そして、それまでストックしていた写真を掲載する作業がすすむに連れて、花を撮影した写真が風景写真と同じくらいのボリュームで保管されていることに気づいた。

一番多かったのがサクラで、五稜郭公園と函館公園で撮影したものがほとんどだったが、こんなに撮影していたんだとあらためて感心してしまった。

 サクラは別格として、印象的だったのは7月上旬に満開となる元町の旧イギリス領事館庭園に咲くバラ。

 バラってこんなにきれいに咲くんだなあと、そして、領事館の庭という異国情緒たっぷりのロケーションが見事にマッチしていたので、満足のいく撮影ができたと思っている。

 シーズンになって何度か訪れるうちに、偶然にも結婚式と遭遇したことがあり、バラにかこまれた庭園の新郎新婦を撮影することができた。

 この旧イギリス領事館のバラは、実は僕がBBSにデビューさせてもらったHPの主宰者である函館のYURIさんから教えていただいたもので、僕は函館に住んでいたにもかかわらず、まったく知らなかったわけである。

 それから、五稜郭公園のつつじの壁。
 これは、あるということは知っていたものの、実際に眺めてみてそのすごさに圧倒された。
 このときは、実は五稜郭正門にある藤棚の撮影がメインで、それを撮影しているときに、観光していた台湾女性2名から、つつじの壁の写真が印刷されたパンフレットを示され、どこにあるか尋ねられたのがきっかけだった。

 『つつじの壁は、ちょうどこの真下。』と指で示すものの、僕も見てみたくなったので道案内した。

 つつじの壁は、一見の価値があるほど素晴らしいの一言につきる。
 
言葉での表現は限界があると思われるので、実際にご自分の眼で眺められたほうが一番いい。

郊外には四季の杜公園がある。

ここのヒースの丘は見ごたえがあるが、僕は5月中旬に咲くチューリップが一番好きだ。いろんな種類のチューリップが咲き誇っていて、それが緑の芝生に素敵に生えている。

この見事に咲き誇っているチューリップの写真を見てくださった京都のお花の先生であるさなえさんが、『エジちゃん、このチューリップはお花屋さんで買うと、けっこう高いんですよ。』と、コメントされた記憶がある。

僕にしてみれば、花屋でチューリップが1本いくらするのか検討もつかないが、そう言われると目の保養かなとその可憐さに微笑んでしまった。

函館に住んでいた去年の春に、石崎町にある「石崎地主海神社の八重桜」が隠れた名所となっていることを、「FMいるか」のパーソナリティ八木森さんが紹介されていたので、さっそく足を運んだ。

最初はほとんど咲いておらず、2回目は3分咲き、そして3回目にやっと満開にめぐりあうことができた。

その愛らしい赤みが強いピンク色の花びらがいっせいに咲き乱れ、空を埋め尽くす鮮やかなサクラ並木の光景は、サクラの美しさを語るには十分な色彩とロケーションであった。

HPを開設したことがきっかけで、僕の花に対する興味が急激に上昇したことは間違いなかった。皆さんに感謝している。ありがとう。

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 今春オープンした函館・五稜郭公園にある「新五稜郭タワー」に、夏休みを利用して初めて登った。

 大人一人840円が高いかどうかは人それぞれの判断であろうが、僕はそれなりの価値があると思った。

 先代の五稜郭タワーは、五稜郭築城100年を記念して1964年(昭和39年)に完成した五稜郭の顔だった。

 僕の小学校時代の遠足といえば、函館山、函館公園、大沼公園、トラピスト女子修道院、仁山、見晴公園、そして五稜郭公園が定番だったし、特に五稜郭公園の楽しみは、この五稜郭タワーだった。

 当時は、このタワーより高い建物がなかったので、高さ60メートルのタワーに登って函館の街並みを眺めることが楽しみだった。

 時が過ぎていくにしたがって、タワーはビルに埋もれるようになったが、それでも五稜郭のシンボルに違いなかった。

 タワーは、四季を通じて五稜郭公園の景色にマッチしていて、なかでも桜咲く5月のタワーからたなびく鯉のぼりがひときわ素敵だった。

 41年間も五稜郭の顔として親しまれたタワーが、跡形もなく取り壊されて空き地となってしまった寂しさを、この新タワーから見下ろすことになるとは、一抹の寂しさというか、僕が物心ついたときからおなじみだったものがなくなるという現実を肌で痛感させられた。

そのまま残しておけばいいのにと思った市民はいっぱいいたと思うが、管理や景観の面で取り壊さざるを得なくなったのだろう。

新タワーは今のところ僕の五稜郭という景観になじんでいるかどうか判断はつかないものの、そのうちなじむことだろう。

ただ、新タワーのデザインは近代的でセンスがいいのかもしれないが、できることなら先代と同じようなかたちにしていただければと思ったのは僕だけだろうか。

それにしても、新タワーからの眺めはすごい。

高さが107メートルになったということなので、五稜郭のかたちをちゃんと確かめることができるし、振り向いて函館山方向を眺めると、夜は「逆夜景」を堪能できるに違いない。

そして、津軽海峡をはさんで青森の下北半島を水平線いっぱいに見ることができるのも魅力のひとつだろう。

五稜郭に桜や藤、そしてつつじが咲き乱れる季節に今度は眺めてみたい。

地上107メートルから見下ろす五稜郭の四季彩は、いったいどんな感じなんだろうか。