2011年8月 No.98号


熱中症について

1.熱中症は何故発病するか
 
 
体熱の生産と放熱がイコールで あれば、正常であるが、放熱が悪いか、熱生産が多くなってしまい、体温が体内に蓄積されてしまうので、体温が上昇してしまう。

2.体温調節について
 
 
脳の視床下部にある「体温調節中枢」は、血液の温度を基にして、高くなると放熱する様に命令を出し低下すると放熱させない様に命令を出している。
 
 
体温が上昇すると(血液の温度が高くなると)
@「体温調節中枢が感受」→延髄にある「血管調節中枢が」→「体表面の血管拡張」
その結果、熱い血液が体表面を多く流れるので、血液の温度より、外気の温度が低ければ「放射」により体熱が放散される。又は、体を冷たいもので冷やす事で、「体熱の放散」→「体温の低下」となる。 
 ※体温が、高くなり過ぎない様調節してくれる機能は、この「放射」による体熱放散(体温上昇)全体の約70%をしめている。 

A更に体温が上昇すると
「体温調節中枢」は→延髄にある「発汗中枢を刺激」→その結果汗が出る。蒸発する時の気化熱によって、体温が放散される。  ※この「放射」による体熱放散は、体温調節全体の約30%である。

 
B汗腺について
 人間の汗腺は、200〜500万個あると言われている。その内、汗を出していない汗腺と、汗を出している汗腺(能動汗腺)がある。
日本人の能動汗腺は、230万個。暑い国のフィリッピン人は、280万個である。
即ち、暑い国に住んでいる人の方が、多くの汗を出す能力を持っている。従って、体熱の放散量が多くなる。
 日本人が、フィリッピンに行き1カ月もすると、その暑さに鍛練され、能動汗腺数が、280万に成る。この様な生体の変化は、
適応作用(能力)範囲が広がった為の結果であり、「順化」と言う。



3.熱中症に対する対策(予防)

 
暑い所で、鍛練していると

@
2項.
@で述べた「体温調節中枢」「血管調節中枢」の感受性が高まり、反応が速くなると共に、「体表面の血管拡張」が優れ、「放射」による体熱の放散能力が高まる。

Aのどが渇いている訳でもないのに、チビチビと水分を補給していると、常に体液・浸透圧等々の機能面から考えれば、理想的である。しかし、熱中症の事を考えると、
抵抗力が無くなる。何故ならば・・・

 

「適応作用について」
(No.53号参照)
 
 
1例をあげて見る。「腕立て伏せ」を毎日10回行っていると、筋繊維が太くなり筋力が強化される。これを5年続けたとする。現在ある筋力は、維持できるが、それ以上にはなれない。10回の「腕立て伏せ」を1ヶ月後に(10回が慣れてきたならば)15回にする。すると5回の刺激に「適応」して筋繊維が太くなり、その分だけ筋力が増加される。
 
 
上記の点から見て、水分補給についても同じ事が言える。
 体内の水分不足の状態を作ってやる(鍛練する)と「水分代謝を調節するホルモン」No.53号参照や、「自律神経」の機能が高まり、水分不足に対する適応作用の範囲が広くなる。即ち、多少、体内の水分不足が発生しても、それに対する抵抗力が、高まる。


 
以上の事から、熱中症の予防は
  
  
1に鍛錬。2に鍛錬。3に鍛錬。
   
もっぱら鍛練のみ 
 
 
但し、熱中症の「症状」を、しっかり身につけておく必要がある。
 直射日光下・蒸し暑い室内で運動などしている時(1人暮らしの、寝たきり老人や、乳幼児の場合は、別問題)に、下記の様な症状が出た時。

頭痛・目まい・だるい・顔がほてる・頻脈・多量の発汗
(多量の発汗についてであるが、普段あまり汗をかいた事の無い人は、すぐ分かるが、運動をしている人は、これが大量な発汗で有るのか知る事が困難である。しかし、普段の発汗よりも、異常に大量な発汗)
 これらの症状が現れたならば、木陰の涼しい場所・エアコンの効いた部屋で、衣服をゆるめて休息。氷水等で頭・体側を冷やす。水分の補給(スポーツドリンク等は、 Na・K が含まれているので良い)。等々。
 
 
大量の発汗が止まってしまった時、痙攣の症状が出た時は、重症であるから、直ちに救急車を呼ぶ。

 
 私は、以前ジョキングを毎日行っていたが、歳に伴い歩行運動が良いと思い、「No.85号」掲載の様、6年前より散歩?を行う事にした。現在も、11時30分頃の熱い時・空腹時に、家を出発し、2時間位、運動を行っている。汗は、流れ落ちる。のどが渇いても、家に戻るまでは、途中での水分補給をしない。

※水分補給時の注意。水分は、大腸で吸収される。水が胃を通過するには、30分位かかるであろう。胃液は、pH3と言う強酸であり、食べた食物の消毒をしてくれる。のどが渇いたからと言って、水を大量に一気飲みすると、胃液が薄まり、一時的に抵抗力を失う。

 これで、私が、熱射病で死んだならば、上記の理論は、間違っていたと思って下さい。

※この説に異論のある方は、メールを下さい。