損害保険会社の交通事故担当者について

損害保険会社の交通事故担当者について

 交通事故が発生した場合、道路交通法にあります様に次の様な
運転者の義務として、
            事故の続発防止措置
    負傷者の救護
   警察官への報告
被害者側になった時には
    警察官への通報
    医師の診断を受ける。
 このような処置の後、損害保険会社では次の様に規定しております。
  直ちに(事故発生の事実を)代理店・扱者または弊社にご通知下さい
@ 対人賠償事故の場合は、事故発生の翌日から起算して60日以内に弊社に書面に    よる通知が必要です。
   A 人身事故および車対車の衝突・接触事故の場合は、交通事故証明書をご提出下さ    い。
   B 相手方との示談交渉または事故にあったお車を修理される場合には、事前に弊社    にご通知いただき承認を得てください。
   C 無保険車傷害事故の場合には、賠償義務者に対して書面による損害賠償の請求を    し、あわせて弊社に対して書面により通知いただくことが必要です。
   ※ 前記の@〜Cが実効されない場合は、保険金をお支払いできないことがありますの    でご注意下さい。
 損害保険会社は、この連絡を受けて、物損事故担当者と人身事故担当者を各事故毎に配置しているようです。
判例によりますと、この各担当者は専門家でないので、各種の判断は困難としているものもありますが、実態は全く異なっております。
 物損事故担当者は、上記Bに際して、殆どその場(電話で有れば電話口)で決済しますし、人身事故担当者も本件同様(電話、あるいは文書)加療依頼を、医師の病院・診療所(医院)あるいは柔道整復師の施術所に全て了解済みの様な、加療の申し入れをします。
 医療関係では専門家でない弁護士でも、長年同様の事件(交通事故で有ればその関係の事件)にたずさわっていれば、相当の知識も得られる筈で、現に損害保険会社の代理人弁護士はそれぞれその道では著名人も居るわけです。
 また、元損害保険会社顧問医の著述には、「損害保険会社は、…これからは精神科や産婦人科までも含めた全科の顧問医を用意しておくべきです。(主体は整形外科・脳外科で、他科はパート程度で)」と指摘しておりますし、前述の様な判例があったので有れば、当然損害保険会社は専門家と言われる者を担当者として配置しておく責務があります。
 それにもかかわらず、損害保険会社の都合によって、担当者が専門家になったり、何も処理能力のない素人職員になったりするのは不合理です。某損害保険会社においては、10年以上も同一の職場で、人身事故担当をしている者も居り、人身事故処理に関しては当然専門家といえます。
 請求額が、損害保険会社のガイドライン以下に有れば、決済できるが、ガイドライン以上の場合は決済できないとし、それまでの医療担当者と人身事故担当者としての関係を一方的に破棄することは、医療担当者側としては、誰の言葉を根拠に加療すればよいものか、どのようにすれば、損害保険会社側とのつまらないトラブルを回避できるものかその点に関しても明確な答えの御指導をいただきたいものです。 ちなみに、この損害保険会社の代理人弁護士に回答を求めましたところ、何らそれらしい回答は全くいただけませんでした。(一貫性のない場当たり的な弁護行為を今後も継続する為に回答できなかったのかもしれません。…上記の内容から誰が考えても一貫性のある弁護活動をしていれば、回答できない様な内容ではありません。)
 熟練した人身事故担当者で有れば、以前に交通事故傷病者の取扱い実績のある医療機関の加療単価、加療方法等に関しての情報は把握しておりますし、過去の支払い実績なども容易に閲覧しています。過去に加療依頼実績の無い医療機関に対しての加療依頼の場合には、通常人身事故担当者は、しばしば、その医療機関に対してコンタクトしています。
 このような実態から、加療単価が高い、濃厚診療傾向がある、濃厚検査傾向がある、長期加療傾向がある等によって損害保険会社サイドでの注意ができている筈です。
にもかかわらず、加療終了まで、医療機関には何のコンタクトもせず、加療終了時になって加療単価が高額であるから一方的に減額支給にしか応じないというのは、『よいとこ取り』の取り込み詐欺と何ら変わり有りません。前記の様な医療機関には損害保険会社の人身事故担当者が、しばしばコンタクトを取る様に、損害保険会社の査定員用の文献には殆ど掲載されております。この事からも一方的に医療機関側の不手際だけでなく、不良な損害保険会社の治療費・施術費減額支給の常套手段になっているのが現実です。
損害保険会社の人身事故担当者が、しばしば加療期間中に調査等を行えば、その人身事故担当者が全くの素人職員だとしても、傷病者の来院頻度、費用、加療経過等も把握できますし、そうすれば、早々に、その状況は損害保険会社側で把握可能です。それを行わずに、加療費用の踏み倒しを働くのは許し難いことです。

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鞭打ち症の査定読本 基礎知識とチェックポイント 加藤安宏編 保険毎日新聞社発行




2004.01.11