損害保険会社と、基本的診察をしない医師について
交通事故時の狭義の『鞭打ち損傷』は、長年の紆余曲折の結果、ようやくその実態が認知される様になって参りましたが、その受傷機転・加療方法に関しては、いまなお以前からの理論・方法等がそのまま受け継がれ、ほとんど研究されず進歩もしておりません。 これは、狭義の『鞭打ち損傷』と言われるものに対して、主たる医療担当者である整形外科医と交通事故の際に支払い側となる損害保険会社査定担当者の両者によって作り上げられてしまった幻覚です。 定型的損傷しか起こりえないと言う考え方と、それに対しての定型的加療方法が標準化されているようです。(医院・病院によっては「『鞭打ち損傷』セットで1週間」等の指示をする場合も有るようです。) 整形外科医側から見れば、いままでどうりで充分利益になり、損害保険会社の査定担当者と、もめたくない。また、自身で『鞭打ち損傷』に関して研究しても殆ど成果が出ないし、経済的メリットもない。と言うことであり。 損害保険会社側から見れば、ようやく定型的加療方法での標準化が計られ、査定業務が容易になってきたのに、『鞭打ち損傷』に関しての研究が進めば、過去に損害保険会社が『鞭打ち損傷』など有り得ないと言ってきた時代から、次第に実態が解明されて支払保険金額が拡大していることからも分かりますように、ますます支払保険金額は増加する筈ですので、出来るだけ回避したいというのが、本音でしょう。(この間の交通事故被害者は、気の毒にもその当時の標準化された(学)説によって、支払保険金額等は現在より相当低額で、処理済みにされてしまっている筈で、以降全く恩恵は受けられておりません。…損害保険会社の利益になったままです。) しかしながら、交通事故に遭遇してしまった方或いは遭遇する可能性のある国民としては、本当の受傷機転と適正な加療方法を知りたいというのが当然の欲求です。(『詐病』『心因性疾患』の汚名を着せられたままで、納得できていない方も多数居られます。) 不都合なことは、医療検査機器の進歩によって、診察の基本中の基本である、視診、触診をまったく行わない医師が増加していることです。当院(長谷川整骨院)での初診時の問診でも、患者さんから『前の病院では、触診はしてもらっていません。』との回答がしばしば有り、当院での触診時には可能な限り、患部の状態を患者さんご本人にも確認していただいております。 現在の狭義の『鞭打ち損傷』に関しては、損害保険会社の顧問医(整形外科医が多いようですが。)のガイドラインから積極療法としての手術または消極療法としての安静療法のみです。(牽引療法等もありますが、これは脊椎短縮時に初めて積極療法として認められるものです。) すでに、狭義の『鞭打ち損傷』は、各研究施設で頸部損傷に留まらない事までは認められております。しかしながら、その発生起点に関しては、充分解析されておりません。従って『鞭打ち損傷』関連の脊椎損傷に関しては、殆ど考察されておりません。 鞭打ち症の査定読本 基礎知識とチェックポイント 加藤安宏編 保険毎日新聞社発行 鞭打ち損傷と周辺疾患 査定実務化のために 井上久著 且ゥ動車保険ジャーナル発行 むちうち症入門 林 洋 著 且ゥ動車公論社発行 検証 むち打ち損傷 医・工・法学の総合研究 羽成守・藤村和夫著 鰍ャょうせい発行 |