損害保険会社の加療依頼はどの時点で成立するか

損害保険会社の加療依頼はどの時点で成立するか

 交通事故傷病者が、柔道整復師の受付に電話で問い合わせ来られたとします。
傷病者は『交通事故に遭ってしまいました、治療していただけますか。』と言ったとします。
 受付は、受傷日・病院への通院状態・事故の相手側の損害保険会社名と担当者名等を聞きます。
 次に、傷病者に対して受付は『事故の相手側の損害保険会社の担当者に、当方に来院することの了解を取り付けてください。』と言います。
間もなく、事故の相手側の損害保険会社の担当者から電話で、『傷病者(**さん)から連絡を受けました。この方は交通事故ですので、一括請求でお願いします。』との話があります。
 この後、柔道整復師の受付から、『必要書類を当方へ送付してください。』と言うと、事故の相手側の損害保険会社の担当者が、『了解しました。』の様なやり取りがあったとます。

 この場合、加療依頼はどの時点で成立しているのでしょうか。一般的にはテープ等での記録はありませんし、場合によっては、損害保険会社の担当者が必要書類を送付して来ない場合も有ります。その様な場合はどうなるのでしょうか。
今回の場合は、文書もテープでの記録も有りますが、それらが無かった場合にどのように加療依頼の有った事を証明すればよいのでしょうか。損害保険会社代理人弁護士は、回答する義務があるはずです。
文書には加療してくださいとは確かに記載されておりません。しかし、文書の郵送されてきた状態を考えれば、加療依頼の何ものでもないのですが、損害保険会社代理人弁護士はテープでの記録が無いと思ったのか「加療依頼はしていない。」と主張したのです。
 口頭での受診依頼が、仮に無効であるとした場合、病院での診療は何なのでしょうか。
病院に患者さんが来院します。→『(診察を)御願いします。』と、普通の患者さんは言います。→やがて診察室に呼び込まれます。→医師が、『診察はしましたが、治療は頼まれていませんので致しません。』と言うでしょうか。又、一般常識では、患者さんの見舞い等以外で、医院・病院等を訪れる者はない(機材等のメンテナンス職員・医薬品のプロパー等を除いて)ので、医院・病院の受付職員には、ただ単に『御願いします。』程度の言葉しか話しません。診察室でも医師は『どうしました。』程度の話しかしません。しかし、言外には『診察して、その結果に基づいて治療を御願いします。』と言っているので、医師と患者の間では問題が発生しない訳です。
加療受付時の文書の取扱いに関しても被告代理人弁護士は著書で、医師と患者の単価についての契約の効力について、…交通事故被害者と医師との間で「自由診療による診療を受けたい旨記載した書面に署名を求め、加害者に対してもその支払いを保証する旨の保証書を徴求するところがある。」これに対して、被害者はいつでも健保に切り替えの申し出ができることはいうまでもない。…としているが、医療機関への受診時の状況が同一(交通事故傷病者が、受傷後のパニック状態に在るからとしている。)でも一方では加療依頼の文書がなければ無効であるとし、他方では加療費用に関しては文書があっても無効であるとしており、損害保険会社代理人弁護士の意見に矛盾が有る様に思えます。
 損害保険会社代理人弁護士は、加療依頼迄さかのぼって、嫌がらせをしてきます。



2004.01.11