損害保険会社が施術費の算定に自社規定を導入する場合、保険約款に記載していなくても良いのか。

損害保険会社が施術費の算定に自社規定を導入する場合、保険約款に記載していなくても良いのか。

 一般的な損害保険会社の自動車事故関連の治療費等に関して、約款には『自社規定に基づいて支払います。』等の文言はありません。これを記載した場合、交通事故傷病者に対しての損害保険の弾力的な適用が疎外されるからです。
ところが、一般的な損害保険会社の自動車事故関連の保険契約をする場合に、代理店担当者或いは支店担当者等の損害保険者側契約時関係者は、その様な話は一切しません。そして、いざ交通事故が発生しますと、たちまち『自社規定に基づいて支払います。』と言う事にするのです。
 損害保険会社・生命保険会社の監督官庁は金融庁(旧大蔵省)です。当然これらの保険会社の約款の承認も行っているのですが、その約款以外の規定を勝手に作り上げている様に思えます。そして、勝手に作り上げられた約款以外の損害保険会社・生命保険会社に都合の良い規定を振り回して、事故被害者に対応します。
 その約款以外の規定を勝手に作る事に行政が目をつぶっている事を考えますと、官僚の天下り先確保にも原因が有る様に思えます。つまり、天下り官僚に対して相当額の給与・賞与・退職金を用意しなければなりません。(某TV番組で暴露された話ですが、旧建設省関係では、2000万円の退職金を得て天下った官僚が、数回に渡る天下り(天下り先から、更に天下りする)で得た退職金が、総額でなんと1億3000万円以上だったとしております。…この間給与・賞与等は別扱いです。)この金員の捻出には相当の見返りがなければ、常識的に考えて誰も手を出そうとはしない筈です。更に約款の内容に関しても、被契約者に対してますます条件を厳しくして、保険金支払いの抑制(免責項目・免責事項の拡大)を図っています。被契約者は自身のリスクを考えて保険契約するのですが、いざ事故に遭遇すると、保険会社の設定した高いハードルを越えられない場合がしばしばあります。保険約款を虫眼鏡がなければ読めない様な小さな字にして、具体的な書き方をしない(危険度の高いスポーツをしている時の事故…、危険な職業に従事している時の事故…等)で、いざ事故に遭遇した時(交通事故でも頚部症候群(いわゆる「むちうち症」)または腰痛で他覚症状のないもの…)に、『保険金は支払えません。』と言うのです。
 この様に、現在の行政は、国民側の立場に立った考え方でなく保険会社側に立った考え方をしております。(そうでなければ、国民にわかりやすい約款、そして具体的な免責事項の記載がなされ、免責項目・免責事項を減少させてゆく筈です。)
 同様に、司法においても裁判官の判断が猫の目の様に変化し、筋が通っておりません。判例の先に、更に判例があり、その先にも更に判例がある現在の司法の状態は、しばしばクイズ番組にもなります。)
 巨大資本の保険会社は潤沢な資金を背景に顧問弁護士を擁して、不満を述べる国民をねじ伏せます。…辣腕弁護士に頼めば、『白も黒になり、黒も白になります。』要するに、余程の応援者が居ない限り、裁判所の判断は、辣腕弁護士の思い道理になると言うことです。(約款不記載事項に関しても同様な取り扱いです。)
 国民の為に、行政・司法が有ると思っているのは幻想です。当事者は当事者の為に、働いているだけの様です。



2004.01.11