椎間板ヘルニア(頚椎、胸椎、腰椎)の実体と、加療方法

椎間板ヘルニア(頚椎、胸椎、腰椎)の実体と、加療方法

 そもそもヘルニアとはどの様な状態で、どの様な部分に発生するかといいますと、広辞苑では、『臓器の一部が、本来あるべき腔から逸脱した状態。腹部では、鼠径ヘルニア・大腿ヘルニア・臍ヘルニア・横隔膜ヘルニア、腹部以外では椎間板ヘルニア・脳ヘルニアがある。』としております。
  腰痛が発生し、医療機関で受診し、椎間板ヘルニアとして診断された場合、どの様な処置が取られるか考えてみますと、
1. 消炎鎮痛剤・筋弛緩剤等の注射を含めた投薬
2. 消炎鎮痛剤の含まれた塗布薬の塗布
3. 消炎鎮痛剤の含まれた湿布等の貼付
4. 安静指導
5. 痛みが消失しない場合には、牽引療法・温熱療法・電気療法
6. それでも痛みが消失しない場合には、外科手術
の様な手順での加療が行われます。
   ここで考えなければならない事は、椎間板ヘルニアの原因と程度(状態)ですが、取りあえず、原因については、
1. 脊椎(椎間板)への過荷重
2. 脊椎の過屈曲
3. 脊椎の過捻転
等が考えられます。
   2004年2月8日〜14日付読売新聞千葉版『腰痛と向き合う 医療ルネサンスフォーラムを前に』によりますと、整形外科での椎間板ヘルニアに対しての手術件数は、15年前の1/10になったとしております。つまり、15年前には、9/10の不必要な手術が行われていた事になります。なぜこの様な事が行われたのかといいますと、ヘルニアの程度(状態)を無視した為と思われます。
   ヘルニアの程度(状態)としては、膨隆ヘルニア・嵌頓ヘルニアがあり、前者は手術せずに済む椎間板ヘルニアであり、後者は手術が必要な椎間板ヘルニアです。 簡単な算数と理科の問題ですが、次の図で、円はどちらに移動するでしょうか。

  これが、手術せずに済む椎間板ヘルニアと、手術が必要な椎間板ヘルニアとの境界である様に思われます。そして、多くの椎間板ヘルニアは、初期には膨隆ヘルニアの状態であり、放置する事によって次第に嵌頓ヘルニアの状態に移行して行くものと考えられ、椎間板ヘルニア初期の早期加療によって手術せずに済む場合が殆どである様に思われます。私自身が10代後半に腰椎椎間板ヘルニアと診断され、手術されそうになった経験から、この様な考察・結論に至ったものです。



2004.01.11