胸椎の偏位(位置異常等)に伴う肋間神経痛と、間違われる心臓疾患
ここで、『家庭の医学』等での胸痛を発する主な疾患を挙げてみますと左の表のようになります。 いずれにしてもありがたくない病名ばかりで、前述しました様に『これは、ダメかな。』と言う様な思いを抱くのは当然である様に思えます。 ところで、この様な病名を気にして病院の診察を受けますと、『異常なし。』で済まされてしまう場合がしばしばあります。胸痛を患者さん自身が認識しているにもかかわらず、医師は『異常なし。』という訳です。この様な場合に胸椎の偏位(位置異常等)に伴う肋間神経痛を疑ってみる必要があります。 その発生機序の一例としては(前後方向への偏位)、次の様なことが考えられます。
この様な機序による肋間神経痛は、胸椎の偏位という物理的な事柄により発生するものですから、『注射』や『投薬』で、偏位(位置異常等)した胸椎が、正常位置に戻るというようなことは、誰が考えても有り得ません。整形外科での物理的な治療方法は、主に『牽引療法』ですが、それ以外は『外科手術』だけのようです。(一部の若い整形外科医が、この事実に気付き、徒手整復法を学んでいるとの話は耳にしますが、日常の診療に利用しているかとの話になりますと、まず聞こえてまいりません。…保険制度の関係から、今までどうりの診療の方がリスクも少なく自信を持って診療できるし、所得(利益)も上がるからと言う事のようです。)垂直方向に短縮している脊椎に関しては『牽引療法』が有効であろうとは誰もが考えます。(例えば、高所から飛び降りた場合の時の様に)しかし、水平方向の偏位に対しては、垂直方向(上下方向)に相当の牽引力を加えてもなかなか目的を達成できません。(針金を完全に屈曲してから、両端を牽引しましても、なかなか針金はまっすぐになりません。牽引力が強すぎた場合には、切断してしまいます。…医療用牽引機器が国内で使用され始めた頃、『60sで30分間の頚部牽引』したという例があり、両上肢のシビレ感が増加したとして、来院された患者さんが居りました。)この様な場合には、脊柱に対して水平方向の力を加えれば容易に動くであろうことは誰にでも想像できます。これらが、椎骨の偏位に対しての加療方法です。(偏位の形態は多岐にわたります。ここでの説明は一例です。)加療方法は色々ありますが、どれが御自身の現状に対して最適であるか検討して受診致しましょう。加療方法を間違えますと、なかなか好結果を得るのに時間を要す事になります。 |