交通事故に関しての医療費の判例の錯覚と誤解に関しての考察
交通事故に関しての医療費に関しては『交通事故における医療費単価と濃厚治療』江口保夫著等の著作物があり、様々な裁判の判例もありますが、それらに関しまして、殆ど考慮されていない部分が多々有ります。(完成された医療が現在迄無い事は知られておりますが、完成された健康保険制度など無く、当然、完成された健康保険診療体系など在る筈も無く、まして完成された健康保険診療報酬体系など有ろう筈がありません。)ところが、大きな欠点がある現行の健康保険制度を相当の完成度の高いものとして、殆どの裁判が展開されております。その為に、現行の健康保険制度の欠陥部分は全くと言っていい程かえりみられておりません。(問題にされるのは、診療報酬単価が1点10円、濃厚過剰治療等に関してが殆どの様に見受けられます。) 『完成度が高いとされている現行の健康保険制度』の裏側には、次の様な事柄が、何ら改善されることもなく、長期にわたって未処理のまま隠蔽されております。はたして現行の健康保険法の診療報酬体系がこれでも正当妥当と言えるのかはなはだ疑問です。
対柔道整復師の加療に関しては更に悪質で、医師単価と柔道整復師単価の健康保険での当初からの格差には一切触れず、前述の医師に対しての論法で、医師単価と比較して格段に低額の柔道整復師単価に関しても健康保険の何倍であるかのみを論じております。(この論法で言いますと、後述します様に、1.44倍となります。) 別紙の様に、柔道整復師加療単価は健康保険での格差の上に更に労災保険を健康保険の1.2倍とし自動車関連では更にその1.2倍(柔道整復師の健康保険を起点にした場合1.44倍)として倍率計算しておりますので、その格差は更に拡大します。(医師(整形外科)との格差は最大約17倍にも達する項目も在ります。)この計算方法が常識的であるか否かは、一般国民で有れば誰もが理解できるものです。(あたかも、豆腐の上に、家を建てる様なものです。)更に医師医療での自動車関連の単価には、長期加療逓減制は導入されておりませんが、柔道整復師医療では、労災保険を基準にしていると言いながら、健康保険の長期加療逓減制はそのまま適用するような、『よいとこ取り』の状態です。 参考 『交通事故における医療費単価と濃厚治療』江口保夫著のP.10 (イ)診療契約と報酬には、医師と患者間に締結される診療契約は、医師が、善良なる管理者の注意を持って、診療当時の臨床医学の実践における医療水準に従い、適切な診療を行った場合に報酬請求権が発生するもので、その額については自由に合意することができ、その内容が公序良俗に違反する特段の事情の存しない限り合意に基づき報酬を請求できる。合意のない場合については、裁判所が診療内容に即した相当な診療報酬額を諸般の事情を考慮して決定すべきものとした。と在ります。ここにある著者は、某損害保険会社代理人弁護士ご本人です。 『交通事故における医療費単価と濃厚治療』江口保夫著のP.15 昭和43年12月10日の日本医師会全理事の決定として「轢き逃げまたは無保険者による場合を除き自賠法優先を認めるべきであり、行政上の取り扱いとして、できるだけ自賠法の優先適用という方向をとらなければいけないことだけは確かである。」とし、「自動車事故には健康保険診療をお断りします。」との地域医師会名義の掲示をはり出した。これに対して運輸省自動車局保証課として、「法解釈上は、当然被害者の任意選択に任されていると考えるべきであるとし、実務上の取り扱いとしても健保診療が望ましいとし、健康保険法は、第三者加害行為に対し給付しない旨の除外規定は存在しない。かえって、第三者加害行為の場合に保険者による求償権を規定しているから、健保法の適用があるのは明白である。」としたとしています。 では何故自賠責保険が在り、任意保険(対人賠償に関しての)が在るのかについては言及しておりません。全てが、健康保険で解決できるもので在れば、民間損害保険会社は、物損関連と、死亡事故のみの扱いでよいことになります。自賠責も民間損害保険の対人賠償保険は死亡時でなければ不要であることになります。 |