談合(談笑)する弁護士

談合(談笑)する弁護士

 地方裁判所・高等裁判所の廊下・通路等での話し声をお聞きになったことがあるでしょうか。にこやかに談笑している人物同士の話が嫌でも耳に入ってきてしまいます。しばらく聞いている内に解ることなのですが、その事件だけでなくその他の事件でも関係のある当事者(弁護士)同士が、当該事件だけでなく他の様々な事件でも相互に関係を持っていることが判ります。当該事件では被告側弁護士の立場でも、別の事件では原告側弁護士の立場になっていても不思議はない訳です。
 この様な関係から、当該事件で相手側弁護士をKO出来る訳がないのです。仮に、当該事件で相手側弁護士をKOしてしまった場合、他の事件で相手側弁護士にKOされる可能性があるからです。弁護士という職業を継続させるには、弁護士間では不文律ではありますが、相手側弁護士をKOする様な事態は先ず発生しません。つまり、依頼人の意向としては相手側をKOしてくれる様に望んでいてもその様には決してなりません。せいぜい8対2、場合によっては7対3、6対4、5対5程度迄にしてしまいます。相互の弁護士だけでなく弁護士事務所の力関係にもよるようです。
 そして、裁判官もこの事は承知の上ですから、その様な判断を下す訳です。大手弁護士事務所の辣腕弁護士に依頼すれば、本来9対1である筈のものが、どんどんその割合が変化していく様です。(従って、原告或いは被告の一方に弁護士が付く様な場合には、弁護士の付いた方に有利な判断(裁判結果)が出るのは当然のことの様です。)
 民事裁判は『金持ちが勝つ。』とよく言われますが、この様な裏話があることを考えれば当然の様にも思えます。余程正義感の強い弁護士がいたとしても、その弁護士も背に腹は替えられないことは事実です。(毎度裁判で負けていれば、誰も依頼人にならなくなりますし、数少なくなった依頼人の着手金だけでは弁護士は生活していけません。)『武士は食わねど高楊枝。』とはゆかないのです。山崎豊子の著作である『白い巨塔』に出てくる2名の弁護士(関口弁護士、国平弁護士)の様に、完全対峙の弁護士は全く居ないと言ってよい様に思えます。弁護士各位も当初は志を高く持って臨まれるのでしょうが、次第にこの世の荒波に翻弄されて、やがては、前述の様な談合(談笑)状態になってまいります。 
 万一弁護士に依頼しなければならない様な事態になった場合には、この様な点にも充分配慮して依頼する他ありません。



2004.01.11