海上山長興寺 海上山長興寺

1.背景と目的

臨済宗中興の祖・白隠(1685-1768)の名は「禅』を通じて世界に広がっており、富士山とともにこの地域住民の誇りとして息づいている。 白隠が生まれた原には、松蔭寺や白隠の生家跡など、多くの縁の場所が残っており、また、旧東海道の南側を東西に貫く市道2221号線及び市道2287号線(以下「なかみち」と記す。)は、沿道の寺社、住宅が相まってすばらしい景観を作り出す可能性を秘めている。
一方、原地区は緊急車両の通行がままならない狭隣な道路の住宅密集地であり、また人々が集える空地等が整備されていないことかち安全・安心なまちづくりが求められている。
このような中、平成15年に白隠に関する地域資源保存整備や道路整備等の提案が地元住民より行政になされるなど、原地区の歴史的資源を生かしたまちづくりに対する気運が高まり、自治会、商工会、寺院などの代表者により、修行憎が通った「(通称)‘6姑娘」にちなみ、「白隠のみち整備協議会」が平成17年8月に設立された。
白隠にゆかりのある歴史的資源を生かしたまちづくりを進めるとともに、防災性・生活環境にも配慮したまちづくりを実現するために、,「白隠のみち整備基本構想」を策定する。



2.沼津市総合計圖におけるこ位置付け

「第3次沼津市総合計画(平成13年3月策定)」において、北部西ブロッタ内の原地区は「千本松原の連なる海岸線など、特色ある自然環境と地形を有し、古くから東海道という東西方向の交流軸に沿って発展し、白隠禅師ゆかりの史跡、東海道の面影を残す街並みなど豊かな歴史資源を有しており、これらの環境や歴史資源を保全活用しながら、人も地域も輝くまちづくりを目指すjとしている。
また、都市計画マスタープランにおいでは、「地域の寺社等の緑の保全や遊休地の活用などにより、身近な公園、広場等の確保に努めること、歴史資源や自然資源活用方策の検討・整備に努めること」などを、地域整備の方針としている。

原地区の概況

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原地区の人口・世帯数()内は沼津市全体
人口:21,054人(211,097人)世帯数:7,898世帯(84,053世帯)



3.対象地区

本整備基本構想の対象地区は、白隠にゆかりのある地域資源が集中する「なかみち」を中心に西念寺、松蔭寺、長興寺、清梵寺の4つのお寺を含み、道路が未整備であり住宅等が密集している下図に示す区域とし、清梵寺から西の市道0204号線までの間、南のJR東海道線から北の県道東柏原沼津線(旧東海道)までの間のおおむね9.5haの区域である

対象地区

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4.地区の現況

この地区は、JR原駅から東へおよそ400mのところに位置しており、-JR東海道線を利用し地区を訪れることも容易であると共に、北側に接する県道東柏原沼津線は、JR沼津駅とJR原駅や富士方面等を結ぶバス路線となっておIり、白隠前、東町、大塚め各バス停があり、本地区を訪れるのに便利である。          
また、県道東柏原沼津線は、江戸と大阪を結ぶ旧東海道であり、本地区の西方には東海道五十三次の十三番目となる原宿の本陣があり、他にも脇本陣や旅籠が立ちならんだ宿場町の一角をなし栄えてきた地区である。    
一方、南側には、駿河湾を囲むように千本松原があり、増誉上人が植えた松が今に至っていると伝えられており、地区の防風林の役目を果たしている。

地区の現況

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(1)歴史・文化等に関する現況

  1. 本地区には、白隠が住職となった松蔭寺の「すり鉢の松」・「山門」.「自認の墓」、自隠が幼少の頃よく参詣したといわれる西念寺の「天満宮」、松蔭寺の修行僧の宿坊としても使用された長興寺の「茶室」・「槙の大木」.「金比羅堂」、大塚のお地蔵さんとして親しまれている情梵寺の「地蔵堂」、自隠生誕地にある「産湯の井戸」や「石倉」等の歴史的な地域資源が点在している。
  2. 地区内では、松蔭寺で法要や芸能、遺墨展等が行われる「白隠と夜桜祭」、長興寺の「金比羅さん祭典・赤ちゃん泣き相撲」、西念寺の〉「天満宮大祭」、清梵寺の「地蔵尊の祭典」等の伝統的な祭事や各種行事が行われている。
  3. 全国から松蔭寺に集まった修行憎が、宿坊として使われた長興寺から通ったと伝えられている「白隠道」と呼ばれる道が今jも残っている。         レ      
  4. 地区の南側には、修行憎が坐禅を行ったといわれている「千本浜海岸」が位置している。


(2)景観等に関する現況

  1. 旧東海道から一歩入ったところに平行して「なかみち」があり、このみち沿いに地域資源やお寺・石倉等の歴史性のある建築物が点在しており、独特の景観を生み出している。
  2. 道路間際の建物や高いブロック塀は、道路の狭さと相まって見通しの悪さや圧迫感を与えている。

(3)道路等に関する現況

  1. 本地区には、「なかみち」を初めヽ緊急車両の通行がままならない狭隘な道路が多い。
  2. 地区内では建物の建替等が進んできており、道路後退された箇所が随所に見受けられる。
  3. 道路交差部には、隅切りが無いため見通しが悪く、また、道路の有効幅員を狭めている電柱が多い。
  4. 地区内には、人々が集い、憩いの場となる空間がなく、また、被災時における一時避難場所等の空間が無い。



5.地区の課題

(1)歴史・文化等に関する課題
  1. 白隠にゆかりのある地域資源か点在しているが、まちづくりに十分生かされておらず、これらの地域資源の保全・活用が必要である。
  2. これらの地域資源をPRし、本地区に伝わる祭事や各種行事等について、次世代に継承していく仕組みづくりが必要である。

(2)景観等に関する課題

  1. 白隠ゆかりの地にふさわしいまちなみとなっていないことから、歴史ある「お寺」、「石倉」、「白隠道」等を活かし、歴史や文化を感じる風情ある景観づくりが必要である。

(3)道路等に関する課題

  1. 高齢化社会に向け、安全で安心な道路整備が必要であり、併せて狭隘な道路が多いため、緊急車両が入れる道路整備、生活環境の向上が図れる道路整備が必要となる。
  2. 白隠ゆかりの地を訪れる人々の「憩いの場」や、被災時における地区住民の一時避難場所などの整備が必要である。



6.地区の将来像


地区の将来像
「白隠のこころと歴史を大切にする、やすらぎの白隠の里」


地区において、『歴史や文化が世代を超え語りづげる“まち”」、『心豊かな“まち”」をめざし、住む人も訪れる人も白隠の息吹に触れ、心豊かになる里づくりを進める。



7.地区のまちづくり方針

(1)白隠に縁のある地域資源を活用した、緑豊かな協働の里づくり
  1. 地域資源を景観の―つとして積極的に活用するとともに、保全の方法について地域の合意を図りながら協働の里づくりを進める。
  2. 「白隠のこころと歴史にふれる散策路」を演出する、既存の生け垣の植栽などにまとまりや連続性を持たせ、誰もが四季の変化を身近に感じられる縁豊かな空間を地域と行政の協働により創出するとともに、建物の外壁や屋根の色彩などの景観に配慮する。
  3. 地域資源を活用した、緑豊かな里づくりのために、建築物の形態・色彩、垣柵などについて、住民の自主的なルールづくりを行う。

(2)白隠のこころと歴史に、ふれあい・はぐくむ地域活動の推進

  1. 既存の組織(原コミ推進委員会など)との積極的な連携により、世代を超えた交流やこころとからだが安らぎ・憩う「機会」を設ける。
  2. 白隠のこころと歴史の継承を「白隠の里」だけにとどめず、周辺地域などに伝え広げるため、地域のまちづくり活動を推進する。

(3)住環境に配慮した、誇りと親しみのある、安全・安心なまちづくり

  1. 道路後退の推進により、地区内の道路拡幅整備を進める。
  2. 地域資源を相互に結ぶ散策略を整備し、地区内の回遊性を高める。
  3. 地域が誇り、親しみが持てる住環境の実現や高齢化社会に備え、すべての人にやさしいまちづくりを実践する。
  4. 地区内の空地を活用して、白隠のこころと歴史に触れることの出来る「憩いの場」や、また被災時の「一時避難地」の整備を行うと共に、散策路の途中にもベンチの設置等による小休止の出来る場の整備を行う。
  5. JR原駅やバス停から地区内へ訪れやすいよう、案内看板等を整備する。



8.整備基本構想の推進

本整備基本構想を推進していくためには、地域住民と行政とが協働して取組を進めていくことが重要です。
このため、次のような事項に配慮して推進していきます。

  1. 住民によるルールづくりの推進

    ・道路後退の推進、建築物の形態・色彩、垣柵の構造などについて、住民の意見を取り入れ、自主的なルールづくりを行います。

  2. 地域活動の推進
    ・白隠のこころと歴史や、当地区内にある地域資源、各種行事を伝え広げるなど、積極的に地域活動を進めます。

  3. 行政による整備事業の推進
    ・白隠のみちにふさわしい道路整備、憩いの場などの環境整備、来訪者のための案内看板の設置などは、行政が中心となって進めます。
    ・白隠のみちにふさわしい道路整備・環境整備を図るため、補助制度などを活用します。

  4. 白隠のみち整備協議会の継続
    ・この整備基本構想を推進するに当たっての地元調整組織として、当協議会が中心的役割を担っていきます。


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