「滅亡か復権か」の感想の2回目です。今日はDNP森野常務の話について。森野常務の問題意識は本の流通の問題、とくに新刊本の返品率40%。新刊本屋は仕入れもせず、取次から送られてくる本を棚に並べるだけ、しかも値段も再販制度で定価と決まっている。一方、古本屋は自ら仕入れのリスクを取って、しかも値段を自分で決めている、新刊本の流通は古本屋から学ぶところありとのお話でした。

この指摘は賛成したい気持ちもありますが違うような気もします。というのは、古本の値段は今やアマゾンなどのネットで検索できるようになりました。もう古本の値段を決めているのは古本屋ではなくネットです。古本屋がネットより安い値段で売ればすぐセドリされてしまいますし、高く値段をつければ当然売れません。

つまり古本は今や、株や為替のように取引されているのです。従って、新刊本の返品率を改善するために、新刊本屋の仕入れ努力や値段の自由化(=再販制の見直し)という意見もありますが、古本屋の立場からすると問題はそうは簡単ではないような気がします。本屋の営業努力も大事でしょうが、むしろ大量出版やアマゾンの1円本、ブックオフの100円本などが問題の本質だと私は思うのですが。