「古本屋は生き残れるか」シンポジウムの前半は小田光雄先生の「本を取り巻く現状と古書業界」というお話。小田先生は、ブログ(http://www.ronso.co.jp/netcontents/chronicle/chronicle.html)で毎月、出版業界についてアップデートな報告をしてくれているので非常に参考になります。

今回のシンポジウムも戦後から現在までの出版業界の推移についてまとめて話をしてくれました。今、出版業界に起きていることは中規模の地震みたいなもので、これから驚くような大地震が起こると思うと言われていました。大出版社の倒産のようなことが起こっても不思議はないということらしいです。

なにか話を聞いていてすごく憂鬱になりましたが、小田先生は特に本の均一化・画一化と低価格・少品種大量販売を嘆いていました。自分の印象でも、出版不況の中で、本の質が大きく低下していることが一番の心配です。古本屋をしていて一番感じることは、古い本ほど良質の本が多い。函に入っていたり、装丁が良かったり、挿し絵が綺麗だったりするのは古本です。

ところが今の新刊本は見るからに安っぽい。しかも、良い本でもすぐ文庫にして安売りしてしまう。問題の本質が大量出版による本の質の低下と価格にあるのではないでしょうか?出版社がこの辺を大いに反省して、大量出版をやめて良質の本だけを適切な部数で出版をすれば出版不況の悪循環を止めることができるのではないかと思うのですがどうでしょうか。