先日中央市・大市の時に古書会館で開催されたシンポジウム『「本を取り巻く現状とこれから」古本屋は生き残れるか』について少し書いてみたいと思います。シンポジウムは2部構成で、前半が小田光雄先生の「本を取り巻く現状と古書業界」、後半が土屋俊先生(千葉大)の「本を取り巻くデジタル化の波について」です。

シンポジウムの前に、古書組合から「この先いったいどうなるのか」生き残りを賭けて認識を共有し、「何か」を始めなければいけないという挨拶がありました。古本屋というのは一軒一軒は吹けば飛ぶような弱い存在なわけで、シマウマのように団結してライオンのような天敵に対処するのでなければ、この危機を乗り越えるのは難しいと自分も思います。

さて、シンポジウムについて書く前にまず、自分の認識を簡単に書いてみたいと思います。今の古本屋の危機というのは二つに大きな側面があって、その二つが共鳴して襲いかかってきていると思います。ひとつは「資本主義=デフレ」の脅威。もうひとつは「デジタル化=本の消滅」の脅威です。

「資本主義=デフレ」の脅威は、この日記で再三指摘しています。天神さんの古本祭では売上の半分以上が100円均一本と聞きました。いまや1000円以上の本を買う人が珍しい状況。アマゾンでは1円本がほとんどですから、廃業する古本屋が多いのも当然か。

デフレは「悪本は良本を駆逐する」経済の法則ですから、この脅威から古本を守るには経済以外の考え方に頼るしかありません。「古本屋」と「本好きのお客様」が二人三脚で本を守らなくてはいけない、本を金儲け=投機の道具にしてはいけないということでしょう。

「デジタル化=本の消滅」の脅威はもっと深刻かも。音楽ではすでにダウンロードが当たり前の世の中になってきていますが、本も、紙の本⇒電子本への移行がはじまる気配を強く感じます。「本」というパラダイムが大きく変わろうとしています。電子本では古本というのは存在しないので、古本と古本屋は消滅するしかないのか。「ガソリン車⇒電気自動車」の移行が「ガソリンスタンド⇒電気スタンド」を強いるように、古本屋はどのように電子本に対応していく必要があるのか。

続きは明日へ。