BLUEIII  ロックンロール ジー・クン・ドー

BLUEIII 誕生前夜 高校時代 

ー ギターとの出会い ー


 2年生になると、俺は美術部で部長になった。
 空手の方も、相変わらず頑張っていたし、それなりに充実もしていたけれど、やっぱり決定的な”何か”が欠けていた。
 中学ん時バスケ部で感じたあの熱い何かをだ。

 しかし俺は、別にバスケこそ特別だったけど、団体行動って昔から大嫌いだった。仲間とツルんで行動したりすんの大嫌いでさ。
 めんどうでかったるい人付き合いするくらいなら、ひとりでいた方が楽しい・・・そんなヤツだった。

 だけど、矛盾してるようだけど、やっぱりバスケの話に戻る訳だよ。
 やっぱりね、”みんなで力を合わせて一つの目標にぶつかっていく・・・”あれは、ひとりじゃ得られないパワーを生むし、感動も倍増する。

 絵を描くのも、空手も、所詮個人。つまり自分だけでするものだし、欠けている何かとは?遠まわしにそういうことなのだ。
 それが、俺の高校生活を退屈なものにしていたのかもしれない。
 
 さて2年になっても、俺は相変わらず親しい友人もいなかったし、作らなかった。
 そんなある日、中学時代のバスケ部の友達の家へ、ふいっと遊びに行った。
 するとそいつは、何と、エレキギターを持っていた。それも、マイケルシェンカーと同じフライングVだよ!しかもそいつは、マイケル・シェンカーの曲を華麗に俺の前で弾いて見せた。

 「ええーーーっ!エレキギターって、誰にでも弾けるもんなの?」
と、びっくりしたよ。
 だって、ギターって、俺のイメージではピアノとかと同じく、小さい頃からレッスンしてやっと弾けるようになるんだって思ってたから。

 しかもその友達は、中学時代毎日一緒に一生懸命バスケの練習してた訳で、とても昔からギターやってたって感じじゃない。
 するとそいつは
「あ〜、ギターなんて誰でも弾けるようになるよ。お前もやってみれば?」
と言うんだ。

 生で見るエレキギターってホント、カッコいいんだ。音もきれいだし。
 俺も欲しいって思ったよ。
 でも、その友達っていうのが、病院の息子で、親に余裕で買って貰える訳。俺んちなんて、こづかいだってよくよく貰えないくらいで、せびっても怒られるのが関の山だ・・・。かといって、バイトしたくとも、美術部と、空手道場があるから無理だし。

 でもギターの魅力は、俺の欲望を抑えきれなくしてしまった。
 あのボディー。あの音色。
 今考えると、なぜ?あんなに俺を駆り立てたのかは、わからない。
 けど、とにかくもうどうしようもなくそのギターが欲しかったんだよ。

 そして、このときのギターとの出会いが、その後の俺の人生までをも変えさせていくとは、この時点ではまだわからなかった。




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