BLUEIII  ロックンロール ジー・クン・ドー

第3の部屋・・・byベイビー佐々木

『 燃えよドラゴン』

超ROCK的「 燃えよドラゴン」ベストシーン



1.冒頭のシーン


何だかシド・ヴィシャスばりに、やせ細っている
ブルース・リー。とってもパンクだ!
 ブルース・リーが、この映画で初めて戦うシーン。

 当時、香港から来る功夫映画をひとくくりに、「カラテ映画」などと呼んでいたのだが、この冒頭シーンを観てもわかるように、カラテというより、その格闘法は、どちらかというと当時、TVのゴールデンタイムに日本中の親父達が熱狂していた、プロレスに近いと思った。

 それもそのはず、ブルース・リーは、映画でもしっかりと自らのジー・クン・ドーコンセプトを(娯楽性もふまえてか、多少誇張しつつも)完璧に表現していたのだから。

 また、後の’80年代ジャッキー・チェンブームに大活躍することになる、サモ・ハン・キンポーが、この冒頭シーンで、リーと戦うのもゴージャスすぎる組み合わせだ。

 また、当時は全てのシーンを、ブルース・リーが演じていると、信じ切っていたのだが、バック転や、トンボ返りをするシーンは、スタンドインの、ユン・ワーが演じているらしい。(よく見ると体つきが違う)

 また、このシーンは、一番最後に撮影されたらしく、よく見るとブルース・リーの肉体が他のシーンに比べて疲労でやせ細っている。

 しかし、R&R的に言えば、この冒頭シーンのブルース・リーのやせ細っている体は、本当にROCKで、カッコイイ!

 



2.弟子の少年への指導シーン


 「Don’t Think Feeeel」の台詞で有名なシーンだが、ビデオの字幕がかなり間違っていて、唖然とさせらせる。

 「指に神経を集中しろ!」なんて、全く逆の意味のことを言っている。本当は、「指に神経を集中させていては、その先にあるものは感じられない!あの天なる栄光を!」なのだ!
 指ばかり見てる少年に「それは、月への道を示す指」ともいっているし。

 何はともあれ、「考えるな!感じろ!」ってセリフは、格闘技に限らず、全ての事に当てはまる素晴らしい言葉で、特にROCKでは、最も重要なことなのだ。



3.ジム・ケリーの部屋のシーン


この部屋のどこかに、ジミ・ヘンのポスターが
貼ってあるので、ビデオで確認してね!
 あの白いでっかいヘッドホンも、超クールだが、壁に貼ってある”ジミ・ヘンドリックス”のポスターに注目!

 他にも、ジム・ケリーが出発前に、自分の道場へ挨拶しに行くところで、レゲエの帽子をかぶった、ジム・ケリーことウイリアムスの仲間もまたクール!

 これは、功夫映画ブームの前に、巻き起こったブラックスプロイテーションブームの名残だと思われるが、全編に流れるラロ・シフリンのファンキーなジャズ・ファンクもまた、時代を象徴していて、とても興味深い。



4.オハラ(ロバート・ウォール)との戦い




 ブルース・リーが、妹の仇を討つという、この映画の1つのハイライトとなっている大事なシーンだが、ここでもビデオでは、またまたあきれる誤訳をしてしまっている。

 「Boards don’t hit back」を「決着をつけよう」なんて、適当な訳をつけているのだ。
 リーが、スーリン(アンジャラ・マオ)の兄貴だなんて、知らないオハラに、いきなり「決着をつけよう」って、一体何の決着をつけるんだか…?

 正しくは、「板はなぐり返してこないからな」と、オハラの板割りをオチョくる大事なセリフなのに!

 ともあれ、リーの攻撃に全く反撃出来ないオハラが、かなり笑える。
 


このサマーソルトキックも、スタンド・インの
ユン・ウー(ユン・ピョウの説もあり)
 また、実際の撮影では、ロバート・ウォールが、ガラスの瓶で、ブルース・リーの手を傷つけてしまい、それに腹を立てたブルース・リーが、次の本番の撮影で、”本気”でロバートの胸に横蹴りを入れてしまっている。

 その為、倒れたロバートの後ろのエキストラまでふっとばされ、骨折する者もいたとか。
 何でも、ブルース・リーは、ロバートを殺すつもりだっかとか?!

 本当の話なら、とってもパンクだったのだ!ブルース・リーって!



 

5.地下牢での決闘


 
撮影中ジャッキー・チェンの肩たたきをしてあげる
ブルース・リー(うそ)
セリフ : B「どう?このへん?」 J「そこっす」

 なんといっても、ヌンチャクシーン!
 「燃えよドラゴン」においての、ブルース・リーのヌンチャクさばきは、他の彼の映画のヌンチャクシーンに比べて、より研究されていて、変化に富んでいて、何回観ても物凄いテクニックだ。

 また、彼が、このシーンで着る黒のツナギ(キャットスーツ)は、「死亡遊戯」のトラックスーツの姉妹品ともいえるカッコよさ!そして、首をヘシ折られる戦闘員役に、”ジャッキー・チェン”が登場するのも感動だ。

 他、カリや、棒術など色んな武器を使った戦いを、リーが見せてくれるが、この時のリーの目つきが本当にヤバくて、カッコイイ!


6.野外でのビッグバトルシーン


 

ジョン・サイクス・・・じゃなくて、サクソンが、ヤン・スエことボロを倒した後に始まる大乱闘!

 ブルース・リーの足が、まるで8本くらいあるんじゃないかと思えるくらい、凄い連続蹴り!これは、「ドラゴン怒りの鉄拳」の道場破りのシーンにも、似たシーンがあるが、それをもしのぐスゴさ。

 同じ敵の顔に、連続蹴りを何発もキメるバックで、エキストラが思わず役を忘れ、笑ってしまっているのも、映画技法としてはマズイが、多分あの場にいたら、俺も大笑いしてしまいそうなので、ROCK的にはOK。

 あのエキストラのちょっとした(!?)歴史的ミスが、よりこの映画をリアルなものとしている。
 本当に、リーの蹴りって凄かったって事を・・・。



7.鏡の間のハンとの死闘


 
 素手のブルース・リーVS鉄の爪のハン!
 あの、鉄の爪にひっかかれたブルース・リーの肉体がまた、美しい!!
 
 ま、このハンっていうキャラクター自体…っつうか、この映画そのものが、「007/ドクターノオ」のパクリなんだけど、これは、ブルースを拡大解釈して、ハードロックに仕立てたツェッペリンと同じで、軽く本家=007をしのいでしまっている。

 この鏡の間も、監督のロバート・クローズの奥さんがオーソン・ウェルズの「上海から来た女」を観て考案したそうだが、色んな映画の素晴らしいシーンを、オマージュ的に取り入れ、更に素晴らしいモノを作るというアイデアは、まさにブルース・リーのジー・クン・ドーコンセプトそのままという気がしないでもない。

「ドラゴン怒りの鉄拳」道場破りシーン
人形とたわむれるブルース・リー



 ブルース・リー自身は、はじめ「自分のマーシャルアーツを、トリックでごまかしたくない」と、このアイデアに否定的だったらしいが、いざ完成したセットを見て感激し、個人的に、このセットでプライベートフィルムを撮影したらしい。

 この時のフィルムが、現存するのか、この情報自体がガセだったのかは不明だが。とにかく、この鏡の間のシーン!幻想的で、サイケで、数あるアクション映画の中でも、おそらく唯一無二の独創性を誇る。

 しかし実際は、撮影中ブルース・リーは、股関節を痛めていたそうで、よく見ると、アクション自体は地味だ。

 メイキングフィルムを見ると、後のキョンシー映画などに出ていたラム・チェインが、ハンことシー・キエンのスタンド・インを、所々やっているのがわかる。

 また、リーが、ハンの首を思いっきり蹴っ飛ばすシーンは、人形だ。「ドラゴン怒りの鉄拳」道場破りシーンでも、リーが敵役の日本人2人を投げ飛ばすシーンがあるが、あれも人形で、CGの無い70年代、スタントマンでも危険なシーンは、よく人形が使われていた。

 また、バックの音楽も、サイケでマッチしている。

 

8.アウトサイドのシーン


 
 ブルース・リーが、部屋で、オハラに向かって横蹴りを、振り向きざまにピタッと止め、「アウトサイド!」と言うシーン。

 マトリックスとかにも受け継がれた、カッコイイシーンだが、キアヌと違って、ブルース・リーは、ワイヤーを全く使っていない(当たり前)。





9.ラスト・シーン


 ジョン・サクソンことローパーと、ガッツポーズをキメるシーン。

 全く違う目的で、島へ乗り込んだ2人だが、このガッツポーズには、勝利のサインと、無言の友情が込められているように感じる。

 エンドクレジットが、鉄の爪とかぶさるのも、クールだ!(「必殺ドラゴン鉄の爪」のチープな爪に比べて、種類も豊富だしゴージャス!)
 


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