JK」

 

それは東武スカイツリー線がまだ東が武伊勢佐木線と呼ばれていて,乗客がまだ地味なおじさん・おばさん・学生でいっぱいだったころ,つまりごく最近のことだ。通勤途中のバッティがコートにくるまってぬくぬくとしている横に,ミニスカのJKが立っていた。をいをい,こいつら皮膚感覚が麻痺しているのか,それとも犀みたいな皮膚なのか,どっちにしろ人間からは遠い,魔物だな。ところがだな,JKは人間だった。彼女も,そこいらにいるJKも,みな寒さに耐えていた。なぜ。なぜそこまでして耐えるのだ,JKよ。この汚れた日本の,みんな欲望丸出しのわかりやすさ満載のなかで,なぜきみたちだけが寒風の中,ミニスカをまとうのだ。そのやせ我慢,武士だぜ,もののふだぜ,魂の同志だぜ。よし,オレは歌をつくり,きみたちに捧げよう。・・・こうして「JK」は生まれたのだった。