▲見どころ、読みどころ▼

子供が私の顔をどういうふうに思っているか、それまではべつに考えたこともなかったが、機関車トーマスに似てると思っているらしいと知ったあたりから、ちょっと気がかりになりました。ひとことで言うとどうも、へんな顔、だと思っているようなのです。わたしに似た顔を見つけるとまず、変な顔だねといいます。なにが変なんだと聞くと、似てない? と聞きます。なにに似てるんだと聞くと、パパに似てない? とやっと結論を言います。最近では久保田利伸が変な顔だといわれていました。やっぱり似ています。

 顔はあくまり良く思っていないようですが、声はどうも尊敬しているようです。テープを聴いていて、たとえば、チェッカーズのふみや君や彼の弟の歌がでると、有名人と声が似ているということでわたしのことを尊敬してくれます。しかし私があんまり大きな声で歌うので、こんな野蛮な大人には勝てんと閉口しているだけかもしれません。昨日はバービーボーイズの「目を閉じておいでよ」をふたりで歌って遊びました。のどの調子がよかったので歌いまくりました。サビにいくまえに、わたしが、ワン、トゥ、スリー、フォーとかけ声をかけていっしょに「目を・・・」とはいるのです。この子の耳に悪影響がなければ幸いです。では、どうぞ。


いくらなんでもそれは

いくらなんでもそれはないんじゃないの
きみ、輪投げの円いリングで遊んでいただろう
ママと一緒に遊んでいたろう
輪投げにあきたら輪をならべて遊んでいたろう
五つならべてオリンピックだとかいって遊んでいたろう
そして、三つの輪を集めて上に二つ下に一つママがならべたら
《あっ、パパだ
と言っただろう
いくらなんでもそれはちょっとないんじゃない
それではぼくがだっこちゃんみたいじゃないか
それにきみ、機関車トーマスを見ても
《あっ、パパだ
というらしいじゃないか

きみの認識パターンでは
きみの父親というひとは
輪状の輪郭のなかに
さらに輪状の目と口があるようだな
まるを四つ描けば似顔絵ができて便利なようだが
父親を似顔絵の便利・不便利で扱ってはいかん
このあいだ郷ひろみのテープを聞いているときに
《これ、パパ?
とぼくに聞いただろう
あのときは嘘でもいいから嬉しかったぞ
あれを写真で言って欲しかったな
だからわかったか
今後、四輪=パパ
という認識は破棄してもらう
トーマスをみるたびに
《パパみたいだねえ
といちいち指摘するのも禁止させてもらう
もちろん
トーマスを指で押さえながらぼくの顔を見上げるのも禁止だ
そんなにうれしそうに見比べるなよ
笑ってしまうからますます似てしまうじゃないか