ぼくはスパゲッティが好きだ　スパゲッティをつくってくれる自分の妻で元恋人のこの人が好きだ　この人とぼくとのあいだに生まれてきた息子が好きだ　自分が好きだ自分が死んでいくということが好きだ　長生きしてしまうかもしれないということが好きだ　また生まれてくるかもしれないということが好きだ　何千年もこういう人間であったかもしれないということが好きだ　あまりかわりばえのしない人間をぐるぐるしているだけかもしれないことが好きだ　神のなかに住んでいることが好きだ　ぼくのなかの酵素はぼくのために生きているとは思っていないだろうなと考えることが好きだ　ぼくのなかにいてぼくのことを知らないかもしれないことが好きだ　このようなことで自分と神との関係を類推するのが好きだ　ぼくが自分を好きな自分を好きなのは神がぼくのことを好きだからなんだろうと考えることが好きだ