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ここは楽園 T's Island



おとなのどうわ”ちょうじゅうぎが”


これは"か"からはじまるなまえの、どうぶつのものがたりです。

むかしむかしあるところにつくりえがおと、あとだしじゃんけんのじょうずなかわうそがすんでいました。
きらいなあいてにさえ、いっしゅんでえがおをつくることができる、こうどなわざをみにつけていました。
それでみんなは、かれはいいかわうそだとおもいこんでいました。

あとだしじゃんけんのわざもそれはそれはみごとで、れいてんいちびょうだけあとからだすので、そのずるをみつけることは、しょしんしゃにはなかなかむずかしかったのです。
あとだしじゃんけんでかったあとは、みんなのまえでまんめんのえがおをつくり、「ぼくはじゃんけんのてんさいだーい」とさけびつつ、くるくるとまわっておどるのでした。
でも、ながいつきあいのかわそたちは、うすうすそのずるに、きづいていました。
ですからときどき、れいてんにびょうおそくだしたようなとき、ずるにきづいて「ずるいやつだなー、もうあそばないっ!」といってはなれていきました。

あるひなかまのみんなと、じぶんのこきょうへあそびにいくことになりました。
かわうそはみんなからあつめたおかねでおみやげをかいました。
そしてしんせきのおばさんに、「これはぼくからのおみやげだよ」とわたしたのでした。
ひとのよいかわうそたちは、そんなずるに、まったくきづきませんでした。

かわうそは、にんげんのとしでいえば、すでにろくじゅうなかばをこえているのに、いつまでもじぶんのけなみはふさふさしてつややかだとおもいこんでいました。
ところがまわりのものからみれば、からだのあちこちが、とりわけじぶんではみにくいせなかのけが、まだらになるほどぬけおちているのでした。

あとだしじゃんけんをつづけていたあるひのこと、あとだしのたいみんぐをなぜかまちがえてしまいました。
としをとって、はんしゃしんけいがにぶくなってきていたのかもしれません。
なんと、いちびょうもおくれてだしてしまったのです。
これでは、いくらひとのよいかわうそたちにもはっきり、ずるだとわかりました。
それでひとのよいかわうそたちは、かわうそをせめもせず、だまってかわうそのまえからさっていきました。
そして、ひとりぼっちになったかわうそは、はじめてじぶんが、”はだかのおおさま”だったことにきづいたのです。

こどくなかわうそは、かわべりをひとりたべものをもって、とぼとぼとあるいていきました。
そこへ、なんということでしょう、たかいそらのうえから、いちわのとんびがきゅうこうかしてきて、そのたべものをかすめとっていったのです。
そしてそのとんびは、ざまあみろというかおをして、かわうそのあたまのうえを、くるくるとさんかいせんかいして、どこかにとんでいきました。

かわうそはなかまをうしなったうえに、だいじなたべものまでうしない、いきるきりょくをなくしてしまったとさ。
おしまいおしまい


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