パール・ジャム PEARL JAM

2016/10/19公開

本体名:トニオ・トラサルディー

世界各地で修行を積んだイタリア料理人

能力:肉体の不調や病気を治す料理を作る

スタンド形成法射程距離パワー
パール・ジャム 能力顕現体
+α(本文参照)
数m程度
料理 外体拡張体 数10m以上

当ページの要点

  • ジョジョの世界の大地には生命活動を促進する霊的なエネルギーである「大地の霊薬」が存在している。
  • トニオはこの「大地の霊薬」を集めて果実のようなスタンドとして生み出し、料理の材料として使うことができる。
  • こうして作られた料理は「大地の霊薬」の効能により常軌を逸した治療効果を発揮する。

大地の霊薬

ジョジョの世界には、世界をあまねく満たし、物質や生物に宿っている霊的な力である「知性」なるものが存在する。この知性はそれが宿った物質・生物の構造などを情報として「記憶」し、またその情報を周囲に信号として「発信」する性質を持っている。

そしてこの知性は、例えば動物に宿ってその生命構造を記憶した後にその動物が死ぬと、肉体が分解され土へと帰っても、動物であった時の生命構造を記憶し続ける。そして生命の自由を失った土の中でその知性は、再び生命の自由を得るために暴れもがき、そのエネルギーはその場所で起こる生命活動を促進する効果をもたらす。

「大地の霊薬」とでも言うべきこのエネルギーは、どの場所にも大なり小なり存在し、食物連鎖によって人々が口にする食材の中にも宿る。ただしそのエネルギーは非常に微弱であり、生命の歴史の中では塵が積もって山になるかのように大きな効果を発揮するが、人々の日常的な食事の中では目に見えるほどの効果を発揮することは無い。

スタンド解説

■杜王町にイタリア料理店を開いている料理人、トニオ・トラサルディーのスタンド能力。イタリアで生まれ、中国・アマゾン・アフリカなど世界中で料理の修行を積んできた彼は、その中でスタンド能力を身につけた天然のスタンド使いである。

■世界各地をめぐって「食」を深く探求し、調理技術だけでなく薬学や食物連鎖によるエネルギーの循環にまで知識と体験を深めたトニオは、ジョジョの世界において土へと帰った生物が大地に残す、霊的な生命力の残滓である「大地の霊薬」を知覚する才能に開眼する。さらに彼は、大地に溜まっているそのエネルギーを集めて果実のようなスタンドとして幾つも生み出し、それを自分の料理に食材として使う調理スタイルを確立する。

■パール・ジャムのスタンド体は、ミニトマトのように小さく丸い果実に顔と腕を付けた姿をしており、「ヘタ」に当たる部分からは茎のような突起物が伸び出ている。果実の表面にある顔は、つり上がった目と牙の生えた口から成るコミカルながらも凶暴な顔立ちをしており、果実の下方両脇から生える小さな腕は、人間のそれと変わらない肩・上腕・前腕・5本の指を備えている。またその両手の甲には、パール・ジャムの果実とヘタの形状をそのまま小さくした形の飾りが付いている。

■「生物の死体」を源とする「大地の霊薬」から作りされているこのスタンド体には、その顔立ちどおり少しばかり凶暴な「本能」が宿っており、トニオのそばでは大人しいが、目の届かない場所では「ギッ」と唸ったり「メッシャアーッ!」と叫んだりする。また、このスタンドの半ば人型のような姿は、「大地の霊薬」の生命力を反映したものであり、トニオの身体との対応によるものではないと思われる。(つまりこのスタンドが砕かれたり食されたりしてもトニオへのダメージはない) 

■トニオは自分の店での接客にあたり、まずは相手の「両手」を見て、相手の肉体がその時に抱えている「不調」や「病気」を見極める。この特殊技能は「大地の霊薬」の存在に気付いたのと同じトニオの霊的な知覚能力によるもので、肉体内の生命エネルギーの循環の乱れや停滞から問題箇所を特定しているようである。そしてその上でトニオは、相手の不調や病気をひととおり治療できるコースメニューを組み立て、調理に移る。

■パール・ジャムの果実の内には「大地の霊薬」のエネルギーが栄養素としてたっぷり詰まっており、トニオはそれを調理過程で料理の中に溶け込ませる。(その具体的な手法は不明) こうして完成した料理は、「物質と一体化したタイプ」のスタンドのようなものとなり、その料理がもともと持っている薬理学的な効果を桁外れに増大させられることになる。

■料理が食されると料理の成分と「大地の霊薬」は1分足らずで肉体に常軌を逸した薬効を与え、患部での治療を開始する。その治療手法は絶大な治癒力に物を言わせたスクラップ&ビルドであり、不調な肉体部分を涙や垢などの老廃物として、あるいはより直接的な破裂などによって丸ごと体外に捨て去り、しかる後に失われた肉体部分を高速で再生する。(店内で繰り広げられるその光景は第三者からは異様そのものにしか見えないが、当人はマッサージや整体を受ける時のような「疲れや痛みが流れ出ていく」感覚があるためか比較的楽観的な反応を取り、トニオもそれをわかった上で接客しているようである) 

■トニオが完成させた料理の中ではパール・ジャムの姿は見えなくなっているが、それが持っていた「牙の生えた口」と「複雑に形作られた腕」の機能は消えたわけではない。おそらくパール・ジャムのスタンド体は、その全身像と手の甲の飾りが示すように「自己相似」的な性質を持ち、料理の中に溶け込んだそれは見えないほど小さい無数のパール・ジャムとなり、ナノマシンのように分子レベルで作業を行っている。そして分子サイズとなったパール・ジャムは、肉を破棄したければそれに噛みつき咀嚼して垢へと変え、歯などの硬い部位を破棄したければ全員で持ち上げて吹き飛ばし、その後に運んできた料理の成分や周囲の肉体内の成分を資材にして肉体の再生を開始する。分子サイズのパール・ジャムが持つ複雑な腕による再生作業は、パワフルかつ迅速かつ精密であり、再生された肉体部分は見た目に歪なところもなく、既存の肉体部分に完全に馴染んでいる。またパール・ジャムは破壊する肉体部位の周囲を工事現場の保護ネットや交通整理のようにガードする作業も行っていると考えられ、工事に伴う出血や痛みは可能な限り抑えられている。

■なお、トニオが生み出すパール・ジャムのパワーは「大地の霊薬」が多く溜まっている場所ほど強くなり、ジャングルのように生命が豊かに生まれ死んでいく場所では強く、「死」を遠ざけられた町中では弱い。また人間の治療を主眼とするトニオの料理では、「人間の死体」から生まれた「大地の霊薬」が、油田のように消費されることなく溜まっている場所ほど望ましい。そしてトニオは杜王町で開店するにあたって当然そのパワーが強い場所を選び、作中では町外れの霊園のそばに店を構えている。(「イタリア料理を食べに行こう その1」の冒頭に描かれた杜王町の地図では霊園(┴に似た地図記号)はかなり広く、そこには火葬が法制化される前に土葬された遺体がかなりあると思われる) 

■トニオが作る料理の治療効果は、食材が持つ薬理学的な効能が高いほど、トニオの調理技術が高いほど、パール・ジャムのパワーが高いほどに増す。(逆に作られた料理が時間経過で劣化すると治療効果は落ちる) その治療効果は作中において、疲れ目・肩こり・下痢・水虫を容易く治し、永久歯の虫歯さえ生え変わらせるほどに強力である。ただこの能力にもやはり限界はあり、通常の医療が及ばない難病にはパール・ジャムも無力な場合が多い。しかし難病が相手でも特殊な食材、地域の伝承として語り継がれるような「神がかりな力を持つ食材」を使えば、治療できる可能性はある。そのような食材が採れる場所はおそらく(人間の死体から得られる)「大地の霊薬」が膨大に溜まっており、かつそれが食材に流れ込む奇跡的な環境が整っており、そして「大地の霊薬」を滋養として生育した食材は、パール・ジャムとは次元の異なる効能を料理にもたらすのだろう。

内部リンク

『クレイジー・ダイヤモンド』
破壊された物体や生物を「元どおりに修復する」スタンド。
『ハーヴェスト』
「大地の霊薬」の亜種とも言うべき「大地の精霊」に力を与え、数100体の小型スタンドを生み出す。