フー・ファイターズ FOO FIGHTERS

2017/01/22改訂

本体:スタンド自身

後にエートロ(名はブランド名「ETRO:エトロ」から)という女囚の肉体を手に入れる

能力:プランクトンの集合体が知能を持った新生物

スタンド形成法射程距離パワー射程・パワー増加法
無定形結合体 自活パワー供給

当ページの要点

  • ジョジョの世界は目には見えない「知性」という力に海のように満たされている。
  • この「知性の海」は世界に働きかけて、生命の発生や進化を促してきた。
  • ジョジョ6部の主舞台であるグリーン・ドルフィン刑務所には特殊な力が宿っている。
  • それはこの土地の重力の弱さと罪人たちの魂のパワーによる「宇宙の縮図」としての力場である。
  • この「宇宙の縮図」の外縁部の湿地から誕生したフー・ファイターズは、「知性の海の縮図」としてのスタンド能力を与えられる。

知性の大海

ジョジョの世界には、世界をあまねく満たし、物質や生物に宿っている霊的な力である「知性」なるものが存在する。この知性はそれが宿った物質・生物の構造などを情報として「記憶」し、またその情報を周囲に信号として「発信」する性質を持っている。

ただしこの「知性」はその全てが物体に宿っているわけではない。ジョジョの宇宙では「物体の総量」よりも「知性の総量」のほうがはるかに多く、そして物体に入りきれなかった知性は物質世界の外に溢れ出て、地球の大地を取り囲む「海」のような領域を作り出している。

物質世界の外にあるこの「知性の海」は、物質世界側の無数の物体に宿っている知性から発信されるあらゆる信号を受け取る。それらの情報はこの「海」の中で混ざり合い、それによって「知性の海」は、物質世界側からより強く受け取る情報に色濃く染められる。

そして、物質世界からの数10億年に渡る物質や生命の情報を受け取り混ぜ合わせるうちに、「知性の海」には海全体から成る一つの巨大な「意識体」が生じる。そしてこの意識体は物質世界へと情報を発信し、物質世界の個々の物体に影響を与える。この結果「知性の海」は、物質世界に対する「頭脳」のような機能を持つことになる。つまり、生物における「頭脳」の役割は、肉体からの情報を受け取り、そのうちのどれが重要かを判別し、肉体に指令を出すことにあるが、「知性の海」も物質世界に対する配置や構造から、自然にこの役割を担うことになるわけである。

「知性の海」から物質世界に伝わる信号の影響は、自由を持たない物質に対してはほとんど皆無である。(ただしそれでも数100万年〜数億年の時の中での影響は、塵が積もるかのように膨大なものとなる) 一方で高い自由を獲得している生物は、物質よりはるかにこの影響を受けやすく、この世界に存在する生物全ての判断や行動は大なり小なり、「知性の海」からの司令に則ったものとなる。

こうして世界は緩やかにしかし確実に、この「知性の海」にして「世界の頭脳」である存在、「大いなる意識」の力に導かれていく。

スタンド解説

■「ホワイトスネイクのDISC」により命を与えられ、グリーン・ドルフィン島内でのみ存在を維持できる特殊なスタンド生物。グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所は、外界から隔離された環境のなか、強い魂のパワーを持つとされる罪人たちが集う場所であるためか、地球上で最も引力が弱く宇宙に近いケープ・カナベラルの一帯に位置するためか、神秘と力を宿し「宇宙の縮図」としての力場を発生させている。(ちなみにこの刑務所は別名「水族館」とも呼ばれ、これは即ち「海の縮図」である) 

■そしてこの島の湿地帯の水にDISCを与えることで、そこに生息する微小な浮遊生物であるプランクトン群がスタンド化して誕生したフー・ファイターズは、この「宇宙の縮図」の中において、「知性の海の縮図」としての力を与えられる。

■そのスタンドの姿は、体長数mm以下の実体化したプランクトン型スタンドが無数に結合して形作られた人間型である。プランクトン型スタンドは、オタマジャクシのような体に出目金のようなギョロ目を持ち、一方その集まりである人型スタンドは、ショウリョウバッタのような細い手足と頭部にいかつい眼光の顔を持つ。そして両者は黒い体とその関節部や身体各部を覆う白い骨格のようなものとにおいて、互いに相似している。その人型スタンドの体はグニャグニャしつつも弾力があり、普通の人型スタンドと充分打ち合い組み合えるほどの強度・パワー・スピードを持ち、またその体は破壊されても再結合によって再生できる。

■そしてこの人型スタンドには人間に引けをとらないほどの「知性」が宿っており、合理的に効率的に考え行動し、人間相手に策を練り罠を張ったりもする。

■本来フー・ファイターズは湿地帯などの「水中」のみを生存可能な生息地とし、そこにおいてはプランクトン型スタンドは目まぐるしい速度で1→2→4体と倍々に増殖していく。(作中でのその最大増殖量は、体積にして人間4体分くらいである) また、そうして増殖させた自らの一部を自分と同じような人型スタンドとして切り離し、それを「しもべ」として別個に行動させることもできる。しもべの顔はプランクトン型スタンドと同じギョロ目で、その知能はかなり低く本能的である。一方その体格はフー・ファイターズ本体より屈強で、格闘能力だけなら本体に勝るとも劣らない。

■また、フー・ファイターズが活動するエネルギーは、その体細胞にあたるプランクトン1体1体のエネルギーの集積から成っている。そしてフー・ファイターズが戦闘などで激しく活動すれば、プランクトンはどんどん消耗していくが、水中であれば周囲の水から絶えることなくプランクトンを増殖補給して、水を得た魚のようにパワフルかつ疲れ知らずに活動できる。このようにフー・ファイターズは水中では不死かつ無敵に等しい。しかし反面陸上ではその体は乾きに晒される体表のプランクトンからどんどん死滅して崩れていき、1〜2分弱で自力移動が不可能な量にまで減ってしまう。ただしその場合でもプランクトンが全滅さえしなければ、水の補給によって再増殖・復活が可能である。

■さらに、「知性の海の縮図」であるフー・ファイターズは、「知性の海」が物質世界に対する「頭脳」として働くように、自身の一部を人間の体内に侵入させることで、その人間の本来の頭脳に取って代わることもできる。体内に侵入した少量のプランクトンは、体内の水分で増殖しながら支配力を増していき、体内の水分全てに自らを浸透させることで乗っ取りを完了する。(ただし「スタンド使い」のように抵抗力が強い者に対しては、少量を侵入させた程度では支配力を発揮できず、また体内での増殖も阻まれるようである) フー・ファイターズに乗っ取られた人間は操られた状態にありながらもその人間本来の記憶に従って行動するため、周囲の者がその行動に不自然さを感じ取ることは困難である。また、この状態でのプランクトンは、人間の肉体が水を保持する「器」となって乾きから守られるため、激しい運動さえしなければ比較的長時間陸上で活動できる。

大海の一雫

「大いなる意識」は世界の始まりの時より世界と共に在り続け、世界を緩やかに導き続けてきた。「それ」は世界を満たし包む一つであるがゆえの孤独の中で「自分」を意識することも無くまどろみ、肉体に相当する物質世界から与えられる刺激に対してただ機械的に反応を返していた。このような「大いなる意識」の一部が、DISCの力によって人間サイズの肉体を与えられ、生まれたものが「フー・ファイターズ」である。

世界の中へと生み落とされた彼は、無限にまどろみ続けていただけの「大いなる意識」であった時のことを忘れ、自分の命の意味も分からないままただ漠然と生き、自分に命を与えてくれた「ホワイトスネイク」への恩義から、その命令に従い湿地帯で大量のDISCを守っていた。彼は変わり映えのしない湿地帯で人間との接触を極力避けて暮らし、あちこちからさまざまな知識を仕入れて色々なことを考え思い巡らせてはいたが、機械的に繰り返される孤独な日々は結局のところ、「大いなる意識」であった頃とほとんど変わることは無かった。

そんな彼の日常はある日、DISCを捜しに湿地帯へやって来た一人の人間、空条徐倫との出会いで大きな転機を迎える。フー・ファイターズは彼女との戦いでその行動の中に、今までの自分の知識や理解が及ばない力の存在を感じ取り、彼女に対する尊敬にも似た興味から、彼女のそばで彼女を守るために彼女の生活する監房へとついて行くことを決める。

本来の生息地である湿地帯を離れて監房へ行くために、フー・ファイターズは死亡した女性囚人エートロの肉体に入り、魂の抜け殻となったその肉体を蘇生させ、自らの肉体とする。(これは後述する治療能力によるものである) それまでにも何度か行ってきたただ操るためだけの憑依ではなく、生活の場そのものを「湿地」から「人間の肉体」へと移すこの行為によって、フー・ファイターズは一人の囚人「F・F」(エフエフ)として、人間を理解するための第一歩を踏み出すことになる。

スタンド解説(2)

■フー・ファイターズが宿ったエートロの肉体は、プランクトンが体内を循環する血液や体液を始め全身の隅々まで浸透し、プランクトンと人間の体細胞は、双方ともに独立性を保ちながらも互いに共存している状態にある。その肉体はプランクトンの影響で骨格までもがゴムのように柔らかく、人間には不可能な動作も可能としている。一方でその肉体は普通の人間と同じように、呼吸や食物の消化などの生命活動を行い、肉体がダメージを受ければF・Fも痛みを感じ、酷いダメージを受ければ生命活動が停止する。ただしその場合でも、独立性を保っているプランクトン側の活動によって、自ら治療・蘇生措置を行い、生命活動を再始動させることも可能である。

■なお、エートロに宿った後でもプランクトンが「水」をエネルギーとして活動することには当然変わりはなく、また体内に貯蔵できる水の量にも限界がある。F・Fは激しい運動が必要となる戦闘では肉体内の水分を急速に消費し、水筒などでの水の補給がなければ全力の活動時間は5分にも満たない。

■またF・Fは、自分(エートロ)や他者の肉体の損傷部位を、プランクトンで埋めて治療することも可能としている。これにはおそらく治療しようとする生物の肉体内に宿る「知性」情報が利用されており、傷つきまたは失われた肉体部位の情報を、その周囲の肉体に宿る「知性」から読み取り、それをプランクトンで再現して傷口を埋めている。そしてプランクトンが肉体にある程度まで馴染めば、その後はF・Fが遠く離れたりしても能力が解除されたりはしない。その治療効果は人間に対するF・Fの理解が深まるほどに強まり、初期においてはとりあえず傷口を埋めた後は対象の自然治癒力でじわじわ一体化を進めていく程度であったが、後期においては臓器や眼球などの複雑な器官に対しても、大して間を置かずに復元と一体化が完了するまでになっている。

■使用技■

◆フー・ファイターズ弾◆
親指と人差し指を立て拳銃のように構えた人差し指の先端から、圧縮したプランクトンの塊を水鉄砲の原理で断続的に撃ち出す技。その威力は人体をえぐってめり込むくらいにはあり、その1回当たりの連射弾数は本編中では最大7発である。ちなみにこの技を使用する際には人差し指全体などが硬質化して銃身に似た形のものが形成され、これには弾道を安定させる効果があると考えられる。
 →JC67(4)巻P135、以降基本攻撃方法として使用

一雫の知性

囚人たちが生活する監房で一人の人間として生活を始めたF・Fは無意識的な欲求からか、「大いなる意識」であった時の大局的な視点からは見ることのできなかった世界のこまごまとした「雑多さ」と、「大いなる意識」であった時の孤独からは経験することのできなかった「人との関わり合い」に強い興味を示す。そして彼女はそれらに満ちた生活で起こる「些細な出来事」や「無駄な出来事」を積極的に楽しみ、その「思い出」を大事に蓄えながら生きていく。

F・Fはいつしか自らの中に、心を奮い立たせ行動に揺るぎない覚悟を与える不可視の力、「勇気」と呼ばれる力の存在を認識し、勇気は自分が生きてきた無数の「思い出」から生み出されるものであることを理解する。そして、個々人によって千差万別なこの「思い出」こそが、運命を切り拓き世界を変えていく「人間のエネルギー」であると確信する。またそれと共にF・Fは、「大いなる意識」の記憶が眠る自分の無意識下において、一体の生物の生命力がその肉体の細胞一つ一つを源とするように、世界全体を先へと進める活力もそこに生きる人間一人一人の勇気という活力を源とすること、そして勇気を生み出す個々人の思い出は、「大いなる意識」の視点からでは小さすぎて見ることさえできず、それゆえにその大局的な導きにおいて、歯牙にもかけられること無く切り捨てられてしまう領域にこそ存在することをも理解する。

徐倫と共に戦い続けた果てにF・Fは、DISCの力を失い死を迎える。「大いなる意識」の無限のまどろみへと帰っていくF・Fの知性が、小さな世界で彼女が理解した「人間のエネルギー」についての記憶を持ち帰れるのか、持ち帰れたとしてその記憶がこの先の「大いなる意識」の導きに何らかの影響を与えることができるのか、それは分からない。ただそれは当の本人であるF・Fにとっては、きっとあまり重要なことではないだろう。彼女にとって何より大事なことは、自分が生きることになったこの小さな世界の中、自分が出会えた仲間たちとそして自分自身のため、自分が培ってきた思い出を勇気という力に変えて、自分にできる精一杯を行えたことである。そして仮に自分にその先があるとしてもそれは、人として死んでいく自分の預かり知らない領域、「神のみぞ知る」領域のことでしかないのである。

内部リンク

『ダークブルームーン』
ジョジョ3部に登場。水中戦を大の得意とする半魚人型スタンド。
『クレイジー・ダイヤモンド』
ジョジョ4部の主人公東方仗助のスタンド。破壊された物体を修復できる。その能力には、彼が暮らす杜王町の大地に「知性」が長年留まり続けて生じた意識体である「知性の大地」が大きく寄与している。