二階建て観光列車

 古都西安の駅舎は折からの黄砂現象で上部が霞んで見えた。駅前には想像以上の群集で混雑している。駅舎内の雑踏を通ってホームに出ると以外や1站台は無人である。そこへ中国鉄路の代表的な交流電気機関車である韶山1型が長い貨物列車を牽引して構内に入ってきた。という事は西安から四川盆地の成都に至る山岳地帯は日本の新幹線と同じ交流2万5千V方式が採用されている。
西安駅構内の風景
 乗車するK762次は西安〜洛陽の特急列車で「新空調軟座席特快」と乗車券に表示されている様にエヤコン完備でJRのグリーン車に匹敵する。
 
4站台からの発車で既にホームに到着した車両の乗車が始まっていて、乗車口で担当の女性車掌が乗車券の確認を行なっていた。列車長は観光列車だと言って自慢していたが、今日はその観光客も少なく、ホームの混雑は見られなかった。
左が中国鉄路の電算機による座席指定乗車券
昼食中 発車準備 発車確認
 11時6分、ホームの女性車掌達の確認で観光列車が発車するといつもの様に車両内の探索だ。階下はツアーの観光客で詰まっていたが階上へと上がってみると空席で、車掌長が客席を利用して事務の整理を行なっていた。この列車スタッフは全て女性達であり、窓際に赤い一輪挿しの造花が優しく、天井にも向日葵の黄色と緑色の葉が蛍光灯の光に映えて、観光ムードを盛り上げていた。

二階の観光座席

一階の観光座席

右画像上で





て下

 ディーゼル機関車に牽引された総二階建て10両編成の観光列車は2両の荷物車を従えて洛陽に向かって行く。
 弁当の昼食を済ませて車窓の眺めは黄河流域の大地であった。肥沃な農地には田畑が広がり、目に入る赤いレンガ塀の農家の軒先に人参や黄色い玉蜀黍(とうもろこし)がぶら下げられている。時に渡る川には秋の時期少ない水流が見られるだけだった。車内はBGMがのぞかな音楽を奏でていて豊かな観光列車の旅である。
 やがて丘陵地帯に差し掛かるとカーブが右左に続き、列車のスピードは落ちていく。右側の車窓に山水画のような風景が迫ってくるのは有名な三門峡である。途中ところ所で停車しては西安方面に向かう長い貨物列車をやり過ごす。貨山駅では100両程の石炭運搬貨車が空車で通過して行ったのは豪快で、ホームに出て後ろ姿にシャッターを切った。
発車を見送るを祖父と幼児 石炭列車の交換待ち
 終着洛陽に到着したのは16時46分、駅前の広場に出ると黄砂で真っ赤な太陽が西の空に傾いていた。駅に並んで站東招待所の文字が懸かる建物はさしずめ「駅東旅館」であろうか、宿泊設備が広場の周りには並んでいた。今晩はこの黄河のほとりに栄えた古い都に一泊する事になる。

2002年11月6日

到着した洛陽の駅舎 招待所とはホテルのこと
洛陽の夕陽 洛陽の通勤帰り