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 arrow_63.gif   「童話の世界へ!」  

2006-04-12
高田桂子先生プロフィール

筑摩書房編集部、コピーライターを経て児童文学の創作に専念する。
デビュー作「から から からが…」(1977年)
他に「ざわめきやまない」、「あの子がぞろぞろ」
「海辺のモザイク」等。

「サンサン」 曹 文軒


中国では児童文学のジャンルだが、日本ではどうか。
子供向けにしては、書き方が重くてくどい。
昔の文体は、緻密に書くのがリアリズムといわれた。現在よりも
スピードが遅い。けずらないで、細部まで書かれている。
前置きも長く、すべてについて描写が細かい。
現在では、このようなくどさが好まれていない。
「はげ頭」、「ハゲツル」は、現在では差別用語。(教科書からは除外される)


「チポリーノの冒険」 ジャンニ・ロダーリ

ジャンニ・ロダーリ, 杉浦 明平 / 岩波書店(1987/07)
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文学者、杉浦明平の訳が美しい。
世界中の子供たちに愛読されている作品。
他に「ファンタジーの文法」は、タケイタケオの装丁の名本。

名訳といわれる児童書:
・「マザーグース」谷川俊太郎
・「チョコレート工場の秘密」田村隆一
など。美しい訳とは、嫌味のない日本語が使われているということ。

ファンタジー創作

■ 現実描写からファンタジーの世界への導入部では、何かの事件や
エピソードを入れると、自然な流れになる。

■ 体言止め、名詞止めなど、文章の途中で切ると、文章の質や品位を落とす。
述語はなるべく省かないほうがよいが、主語は、いらないところは切る。
「…」も、会話以外は使わないほうが好ましい。
「〜したりして」という結びも、ワザが必要。

■ ファンタジーとは
実生活の「本当」と物語の「らしさ」は違う。
「現実にそういうことがあるか」ではなく、その物語のなかで、
それが成立してればよい。
「本当にいるか」ではなく「本当にいそうか」どうかで考える。
読者を納得させられれば、非現実でもOK。

■ 幼年向けの文章
くどくど説明しない。なるべく省いて、簡素な短い文章にする。