契約翻訳コース
契約翻訳講座(4) 売買契約(2005-05-20)
契約とは
契約(contract)=申し込み(offer)+承諾(acceptance)→合意(agreement)
+強制可能性(enforcability)
強制可能性の要件とは、1.明確性 2.約因 3.口頭証拠禁止
要件とは、法的な条件
みなすと推定の違い
「推定」の方が、「みなす」よりも厳密。
確定したら、「推定する」とはいえない。
otherwiseの訳し方
1.「別段の」
2.or+otherwise→訳なし(orの意を強調)
3.逆の意に訳す
紛争を解決する手段
1.直接交渉 Negotiation
2.仲介 Intermediation 第三者が間に入る
3.調停 Mediation 第三者が条件を出す
4.仲裁 Arbitration 仲裁人が裁判もどきを行う
5.裁判 litigation 裁判官が裁判を行う
その他
- assignmentは譲渡。transferは移転
- corporation法人 company会社 firm企業 entity事業体
- Noで始まる文章は、「〜しても」と訳す。
- Item3 of Sub-article2 of Article5 of the
Agreementは「第5条第2項第3号」
- Laws of
Japanは「日本法」− 憲法(Constitution)、条約(Treaty)、法律(Statute)、(省庁が作る)命令(Ordinances)、
規則(Regulations)、(地方公共団体が作る)条例(Pact)の順序で影響度も違う。
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契約翻訳講座(3) 売買契約(2005-05-13)
effectの訳し方
通常、effectは名詞で「効果」を意味し、affectは動詞で「影響する」を意味するが、法律文書では、effectは動詞で「もたらす」を意味する。
(doと同じ意)。
権利と権限の違い
権利とは、ある行為の利益が自分に帰属する場合
権限とは、利益が自分以外に帰属する場合。
terminateの訳し方
termination は
1.期間満了(expiration)
2.解除(cancellation):合意解除(resession)、違約/解除事由→契約違反(cancellation)
の二つの意味があるが、どちらでも「終了」と訳する。
その他
- 売買契約では、Riskは「危険負担」。損害賠償をどちらが払うかの取り決め条項。
- Titleは、単独で使われていたら「所有権」 Right,
Interestという言葉が近くにあったら、「権原」と訳す。
- 「時」と「とき」では、「とき」の方が時間的に長い。
- 「場合」が2回続くとき、2回目は「とき」と訳す。(「場合」を2回続けない)。
- 厳密には、Warrantyは「商品保証」、Guarantyは「支払保証」の意。ただし、両者が同じ意味の場合もある。
- 文中のifの後が長い場合は、文を切る。
- "reserve the right"は"have the
right"と同じ意味。「権利を有する」。
- "without delay"は「遅滞なく」
- claimは「(賠償)請求」
- remedyは「救済方法/手段」→裁判所が下した金銭賠償と差し止め
- "fails to"は「怠る」
- damagesは「損害賠償」、damageは損害
- 原文で、全部大文字で記述してある部分を「明示」という。
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契約翻訳講座(2) 売買契約(2005-04-20)
anyの訳し方
1.否定文「いかなる〜ない」(not any=no)
2.「ある」(=a)
3.訳さない
4.「場合」(主語にきたとき)(upon, all, in case that/of, in the event of/that, in case where, whereと同じ)
英文法律書の見出し
I II III
A B C
1 2 3
a b c
i ii iii
(a) (b) (c)
(1) (2) (3)
(i) (ii) (iii)
*日英翻訳の場合、@は(1)に、イ、ロ、ハはa,b,cとする
条(Article/Clause)
項(Sub Article)
号(Item)
章→Chapter
節→Section
その他
- C.I.F.→シフと読む。売買契約書にはよく出る。
目的地。荷物をどこで渡すか、損害賠償の負担の移転時期を定めている。(C.I.F.横浜港→横浜に荷物が到着するという意味)
船の場合、売り手が港から運んでいる荷物が船のてすりを越えたら、損害賠償は買い手の負担となる。
- 「信用状」とは、払う約束。買い手に支払能力があるという意味。
- 動詞は名詞的に、名詞は動詞的に訳すと、日本語らしくなる。
- "as amended"は、(改訂された場合はその改訂版)とカッコに入れる。
- どう見ても原文が間違っているときは、訳して後に(原文ママ)と入れる。
- なるべく権利者や義務者を先頭に出す。
- "〜, unless〜"と来たら、コンマの前で文を切って、「ただし、〜の場合はこのかぎりではない。」とする
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契約翻訳講座(1) 売買契約(2005-04-16)
日本と英米の契約の違い
日本法→大陸法:権利者の保護、当事者の意思を重視
英米法:取引を律するものであり、取引の安全を重んじる。条件が細かい。
日本の契約: 書面だけでなく、口頭により契約を立証できる。(契約書には最小限のみを記載し、別途協議が可能)。
英文契約: すべての契約条件・条項を規定し、あらゆる不測の事態を想定し、その個別のケースの解決策・対処法などを規定する。
andとorの訳の取り決め
and
単語レベルの小さいくくり: 「および」
熟語レベルの大きいくくり: 「ならびに」、「かつ」(関係が厳密でないとき)
or
単語レベルの小さいくくり: 「もしくは」
熟語レベルの大きいくくり: 「または」、「か」
文章を切るときの取り決め
1.コンマがあるとき
2.接続詞(and,or)
3.関係詞(who,that節など一文が長いとき)
文章を切って、接続詞が浮かばないときは入れない。
その他の取り決め
- 原文の大文字は「」でくくる
- 主語を前に出し、英語の流れに沿って意味のかたまりで訳す
- なるべく能動態で訳す
- 同意→一方が他方に対して同意する。合意→両当事者が合意する
- shall 「するものとする」、under「基づき」、in accordance with「従って」と決めておく
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