青ケシの育て方 
Meconopsis Betonicifolia
(メコノプシスベトニキフォリア)

 この花に出会ったのは、昭和57年6月15日の北海道新聞の夕刊でした。
 栗山町で栽培していた方が開花させた「幻の青けし」と記事があり、詳しい住所も載っていなかったのですが、どうしても種を分けていただきたくて、自分の持っている珍しい種類の花を全部書いて是非交換してほしいとお願いし、白花の蝦夷大桜草と交換に10粒弱の青けしの種をいただきました。(今にして思えば随分大胆な行動だったなぁ〜と思いますが・・・)
 
 それを蒔いて開花させてから、20年以上作り続けています。
 今は、種苗店や通信販売でも入手できるようになりましたが当時は栽培方法もわからず、枯らしたくないという緊張感で大変でした。
 現在は株で20株くらいになり、種子もかなり確保できましたので、少し気が楽に栽培できるようになりました。
 道東の霧と低温が青けしには合っているのか、順調にいくと実生苗でも3年目には開花してくれます。

=青ケシの育て方(実生)=
・下の写真の芽は親株の周りでこぼれ種が発芽したものをポットにあげたものです。
・移植の時期は本葉が出掛かったくらいの時でピンセットで根を切らないようにします。(3cm以上の長い根)
 春蒔きの場合は北海道東部で3月〜4月(草花の播種時期より1〜2ヶ月早い)に市販の培養土にピートモスを混ぜ たものを鉢に入れ水を充分にやってから播種する。覆土はしないで乾かないように管理。
・暖房のない明るい部屋で寒めに管理し、順調だと2週間位で発芽する。少しずつ外気に当てて丈夫に育てる。
・1ヶ月経っても発芽しないときは雨の時に屋外に出して雨に打たせるとその刺激で一斉に発芽する場合もある。

 あくまでも、道東の寒冷地なので本州の方が参考になるかどうかわかりませんが、青ケシの好きな環境はヒントになるかも知れませんね。


 平成15年6月4日の地面から発芽している青ケシの芽です。
 100位が発芽していたが、前年は1粒も種を採らなかったので、1本の花茎から6、7個の花が付き、1株から10本位の花茎が立っていると言うことは1株で12,000粒くらい。
 それが3株で36,000粒。
 そう計算すると、やっぱり発芽率はそう良くないことになるのかな〜・・・
上の花が、青ケシの親株。左下にあるのが十勝フウロ草。右下の花がボタンキンバイ株。



大きい画面になります。
 同じ日の上の写真の拡大です。
 わかりづらい方は画面をクリックすると大きくなります。





 

 平成15年7月2日の実生苗。上の写真のこぼれ種を9cmのポットに鉢上げ。
 苗の置き場所は朝10時ごろまで日が差すだけで培養土は赤土、腐葉土、火山礫、に完全に発酵した馬糞が少量入っている。


 



 平成15年8月21日の状態。
 上と同じポットのままですが、結構大きくなってきている。
 プラスチックとかビニールポットに単独で植えている場合は、気温があがると鉢の周りから熱せられやすく、用土の温度が上がりやすくなります。
 暑い地方の方は、プラ鉢、ポットをそのまま土に埋め込み草やワラをひいて用土の温度が上がらないようにします。
それと、青ケシの根は思ったよりも大きくなっているので、鉢を大きくする時期を遅らせないように気をつける。

 


 10月1日の実生苗、上と同じバットに入っており、15cmポットに植替えて1ヶ月くらい経った状態。
 培養土は上記と同じ。
 11月上旬に発泡スチロールに入れて越冬させる。
 北側の冬中日が差さない寒い場所に置き雪が降ったら春まで溶けないので箱ごと雪の中。

 平成16年4月29日、越冬終わり、箱を開けた状態。昨年の秋の葉は全部枯れてしまうので、出ている葉は今年の芽。
 ちょっと開けてやるのが遅かったので、芽がひょろひょろしている。


 5月29日現在18cmポットに植替えたもの。この状態だと大きい株は今年、花芽が着いた。
 通常はこんなに大きくなる前に地植えしなくては、根がかわいそうなのですが、この年は畑に植える場所がない位多数の株(約50株)が育ってしまったため、この状態でフリーマーケットで販売した。




=青ケシの育て方(地植え)=
 青ケシは開花した株はその年で枯れてしまうため、開花した時点で1株(1本立ち)しかなく、種など着けさせて株が衰弱させてしまうと越冬の可能性はなくなってしまいます。
 そのような場合は1番花が咲いたら茎の根元から切ってしまいます。花は切花で楽しみ、株の衰弱を防ぐと秋までに株の横から子株が増えて、複数の株になる。
 そうなると、中央の大きい株に花芽が付き、周りの小さい株が来年以降の開花株の予定となり、順繰りとなるため、株が弱りにくい気がします。
 ケシ類は移植が嫌いですが、早春に周りをかなり大きめに掘っての移植は可能です。

 又、春先に浮き上がった株がコロっと根元から取れてしまう事がありますが、あきらめないでそのまま静かに植えなおしてやると地際から新しい根を出してくることがあります。
 そういう場合や、元気が良くない株に対しては、根が動き始めたと思われるようになってから、ハイポネックスのごく薄い液肥(粉末の方)を水代わりにやると、元気になる。

まったく同じ場所の青ケシです。
まだ中央に1株(開花株)しかないように見えま
すが右下に小さい株が数株顔を出しています。
この位の株立ちになると安心。中央がちょっ
と穴があいているように見えるのは昨年の
開花株が枯れた後です。
H.13.4.14の青ケシ H15.4.25の青ケシ


その年によっての異常気象で全滅するのを防ぐために自宅の周り、3箇所に分けて植えている。
1.朝日が当りその後日陰、夕方短時間西日が当る場所。
2.朝日が当りその後ず〜っと日陰。
3.朝からほとんど1日中日が当る場所だが、石楠花の木で西日が切れるような場所。
今のところ、青ケシは『1』と『2』の環境がお気に入りの様子。(ここ12年位の中で)石楠花、つつじ、山野草も一緒によく育っている。
花を良く着けるには春早くに1株に1にぎりの骨粉をやると効く。(肥料はそれのみ、与えすぎると軟弱に育ってしまい夏に蒸れる原因となるが基本的には肥料好き。土が肥えていないと花はほとんど付かない。
友人で何年経っても花が咲かないと言う人がいるが、春先に骨粉をやった結果ほとんど開花している。


 平成16年4月29日現在の株の状態。
かぶせていた鉢を取って4、5日経ったところ。

 花が咲いてそれに養分がとられると翌年の株(芽)ができないので複数の株立ちになるまでは花は早めに切って、種をつけないようしないと株が弱ります。

 6月18日、花首が上がり始めている。



 6月28日、この年は暑い夏で開花したものの、あまり元気が無く、日当たりの良い場所に植えていた4、5株蒸れてしまった。







 


 10月4日現在の青ケシ。
最低気温が5℃以下になってきているので、新しい葉が大きくなれないでいるのでこのまま越冬するようになると思う。
 クリックすると写真が大きくなるので株の感じがわかるかな。




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