perfect drug <chapt5…extra>
カーテンの隙間から差し込む光が眩しくて目が覚めた。寝返りを打ち隣に目を移すと、もう傍らに平井の姿はなく、溜息をついて目を閉じたとたん 昨夜のことが鮮明に脳裏へ浮かび上がってきた。
一気に眠気が飛んで頭にカッと血が上る。
「…あれはさすがにヤバイよな… 銀さんは普通じゃなかったんだ。仕方ない。でも自分は完全にシラフ。やらかしたことも全て憶えている… マズイよ マズイよな…」頭を抱えてのたうち回る。 しかしどんなに後悔しようとも今となってはどうにも取り返しのつくことではなく 覚悟を決めて身を起こした。
そっとリビングのドアを開けると、いつもの様にソファーで新聞を広げる平井の後ろ姿が見えた。のろのろと近づき恐る恐る口を開く。
「おはようございます …あの… 」
言った方がいいものか何も言わずにシャワーに逃げようか 考えた挙げ句口にする。
「ごめんなさい。 俺 馬鹿でした…」
ひょっとしたら口なんかきいてもらえないじゃないかと思いつつ、平井の様子を窺う。
しかし振り返った彼はいつも通りの穏やかな表情で、何もなかったかの様にふんわりと肩越しに笑顔を返してきた。
「馬鹿は百も承知だ。 ともかくシャワー浴びてこい。 …話はそれからだ。」
「 は…話って…?? 」思わず背筋が凍った。この人は笑顔で人を殺す。
聞き返す勇気もなくそのまま浴室に逃げ込んだ。
「どうしよう… 銀さん怒ってるよ絶対… どうしよう…」
泣きそうな森田が小一時間 シャワーを握りしめあれこれ悩んでいたことを、鼻歌交じりに彼のための朝食を作っていた銀さんは 全く知らない。
Date 2006 ・ 11 ・12
inspired 『perfect drug』 Nine Inch Nails
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<< あとがき >>
薬物で森銀という趣向でしたが、単なるエロになってしまいました。
それもなんか中途半端で…すいません。
念のために言っておきますがラブドラッグと呼ばれる類の薬物は、セックスが
良くなるというよりは お互いの求める気持ちがより強くなるという方向に効く
もので、所謂媚薬とは違うものです。つまりシャブやコークの効きとはちょいと
方向性が違うものだと思ってください。
アッパーでサイケデリックということで、イメージとしてはMDMAベースの
ミックスドラッグのつもりでしたが、そうだとすると入れた直後と抜けた後に
銀さんは結構な吐き気や落ち込みに襲われてるはず… う〜ん矛盾…。
本当のことを言えば実際の薬物ではなく
『perfect drug』 = 平井銀二 なんですけどね。
まぁ本来 薬の介在無しでも二人の思いの丈に変わりはないんですが
恥じらいとか見栄とか躊躇いを剥がしたかったということで。
タイトルは映画「ロストハイウエイ」サントラにも使われたNINの名曲より
『貴方が欲しい…』と繰り返すトレント・レズナーの声のエロさがたまらん!