質問5 マンション管理士の将来性
答 中長期的には明るいと思われます。
(1) 7・8年後には、築30年超のマンションが100万戸を超え、建替か大規模改修か迫られるマンションが夥しく増えます。既に行政は、「マンション建替え円滑化法」の施行(平成14年12月18日)や「区分所有法及びマンション建替え円滑化法の一部改正法」を施行(平成15年6月1日)し、また各種の支援・助成制度を策定してこれに対応しようとしており、当面マンション管理士もこれに全面的に協力する必要があります。
(2) 首都圏のマンションでは、賃貸化(21%以上の組合18%)、高齢化(2013年には1人暮らしの世帯がトップに)、設備機器の老朽化・陳腐化、超高層化、IT化等が進んでおり、マンション管理に新たな対応が求められています。
(3) リストラ、収入減等により、区分所有者は従来の資産保有、買い替え指向から、永住指向の傾向が強まってきており、管理に目が向くようになってきています。現に管理会社との管理委託契約の見直し、管理会社の変更等の動きが出てきています。
(4) 現在でもマンション管理に関する相談等の潜在需要は相当あることは識者の一致するところであり、各士会の単独または行政機関、関係団体等との連携による管理組合の啓蒙活動の活発化により、上記の客観情勢と相俟って、この潜在需要が顕在化してくるとみられます。
質問6 マンション管理士はマンション管理組合と管理会社のどちらの味方
答 管理組合サイドには立ちますが、敵・味方の関係ではありません。
マンション管理適正化法では、マンション管理士は、管理組合の管理者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行なうことを業務とするとされており、その趣旨は、プロの管理会社に対し、素人でしかも短期間に役員が交代する集団をできるだけ対等な立場に立たす役割を期待されているものです。
従って、管理組合サイドに立つものではありますが、決して管理会社と敵対するものではありません。ときには組合を諌める役割も担うべきでありましょう。
現に良心的は管理会社は、むしろマンション管理士に入ってもらった方が組合の合意形成がスムーズで話が早く、誤解もされずに良いとしています。
質問7 個々のマンション管理士は得意分野が限られているが勤まるか
答 立派に勤まります。
マンション管理士の業務は確かに広くこれを総てカバーできる管理士は皆無に近く、またそれを求められてもいません。それは医療の分野で総ての診療科をカバーできる医師はおらず、またそれを期待されてもいないのと同じです。
従って、広く浅くいわば主治医の役割を担うもの、得意分野を深く極めるもの等それぞれ役割分担があってもよいのではないでしょうか。必要なのは、管理組合の需要に見合って、連携してこれに対応できる体勢であり、この役割は士会が担うべきでしょう。勿論、個々のマンション管理士の日頃の研鑚は当然です。、
質問8 同一地域に複数のマンション管理士会があることの是非
答 やむを得ないでしょう。当面はむしろその方が良いのではないでしょうか
1 名称独占
業務独占の「士」の場合、その制度の存立・発展のため、法令等で士会の設置及びその要件を定めるとともに、加入を義務付け、所管省庁において各種の助成や監督を行っています。
マンション管理士は名称独占に過ぎず、国等では当面士会の設置は予定していません。(国土交通省のマンション管理士活用方策検討会報告書(14・6・21))
しかし、マンション管理士が個々人では何もできないのは明らかで、何らかの組織化が必要ですが、それはマンション管理士が士会に何を求めるか、どの程度の関わりを持ちたいかによっていろいろの士会が有り得ます。実際にはそれぞれが好みによって士会をつくるといっても時間等から無理であり、一部の篤志家が旗揚げした士会に、その趣旨に賛同した者が入会するということになるでしょう。
2
複数の士会
設立趣旨等が同じであれば統合の意味もあるでしょうが、そうでなければ、無理に統合しない方が良いでしょう。
業務独占の士会の場合はだいたい単独となっていますが、国等の手厚い保護を受けながら、その運営の実態は低調なものが多いようです。士会によっては会員からも加入の意味はあまりないとの意向が聞かれます。
これに反し、複数の士会が存するわが士会は、それぞれ手弁当ながら、凄まじい活躍振りです。このエネルギーは何処から出てくるのでしょうか。それは競争です。マンション管理士にとって魅力ある士会としなければ、新たな加入はなく、留めおくことすらできず、士会の存立自体が危なくなります。そこに工夫と努力が生まれます。
一本化した方が無駄が無く、計画的・効果的な活動が出来るし、またマンション管理士や管理組合も選択に戸惑わなくて良いという一見尤もらしい意見もあります。
同じ理論の社会主義国家がどうなったか、自由競争は一見無駄が多いいようにみえますが、その何十倍のエネルギーと創意工夫が生まれます。それにマンション管理士にとってもより魅力ある士会への選択の余地があり、最終ユーザーである管理組合にとっても、競争による料金の低下とサービスの向上を享受することが出来ます。
また、一本化するとして、どこに一本化するか。 どの士会にもその構成員の何倍もの登録者で未加入の者や他士会加入者の意志を縛る権利はありません。
もし、将来一本化されるとすれば、それはほとんどのマンション管理士にとって魅力ある士会が現れたときでしょう。それは既存の士会の何れであるか、全く新しい士会であるか予測はつきません。
3 行政機関等との関係
行政機関等との関係は、@ 情報伝達と A 協力関係でしょう。
(1) 情報伝達については、現在伝達手段は多々あり、必ずしも一本化しなければ不便ということも無いでしょう。
(2) 行政機関等の主催する「マンション管理組合の交流会」、「セミナー」、「無料相談会」等への講師、相談員等の派遣等の行政機関との協力関係については、むしろ、競い合うことによって、行政機関等の要請により応え得ることが出来るのではないでしょうか。
しかし、対行政機関等との関係が、一番連携の余地はあるでしょう。
4 結論
当面、複数の士会の存在は、お互いに切磋琢磨することにより、士会を活性化し、しいてはマンション管理士を社会に認知させ、マンション管理士に将来の希望即ち業として成り立つとの見通しを与える近道となるのではないでしょうか。
質問9 わが管理組合も自主管理が可能か
答 可能です。
要は区分所有者のやる気の問題でしょう。それにマンションの規模、態様(単棟型、複合用途型、団地型)、経緯等で、その難易度に著しい較差があります。
一番多い60戸程度以下の単棟型に限って言えば、そう難しいことではないでしょう。
管理組合の事務としては、次のようなものがあります。
1 事務管理業務(収支予算・決算案の作成、管理費等の受け入れ、理事会・総会支援業務)
2 管理員業務
3 清掃業務
4 建物・設備管理業務(建物点検・検査(含む定期検査)、エレベータ-設備、給排水設備、消防用設備、機械式駐車場設備等の点検・検査)
このうち2〜4は、管理会社でもそのほとんど又は一部をそれぞれの専門業者に下請けに出しているところも多く、従って管理組合が直接これらの専門業者に委託することは難しいことではなく、むしろ相見積もりを取ることにより、さらに料金を軽減し得ます。
問題は1ですが、管理費等の受け入れについては、自動振り替えにすれば、あとは滞納者の督促だけであり、自主管理で全員が役員を経験すれば、おのずから滞納者も少なくなります。 経理関係、理事会・総会の運営等については、1〜4全般とともに、マンション管理士等マンション管理の専門家を顧問(顧問料 首都圏マンション管理士会の場合月3万円程度)として受け入れ、その助言等を受けることにより対応し得ます。
しかし、役員にかなりの負担がかかってくるのは確かです。他方区分所有者の目が管理に向き、管理への参加意識の向上、将来大規模修繕等の際の合意形成に役立つ等のメリットもあるでしょう。
自主管理に移行するかどうかは、これらのメリット・デメリット、更にはこれまでの経緯等を綜合判断して決めるべきでしょう。
(質問4〜8 平成15年12月28日 記)

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