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HISTORICAL

20060205

The challenge of the Mountain troops.
Submitted by: Schwarz!! Mountain Units
Story Identification #: 200629
Story by Cpl. Kease

 A certain place,Tokyo(Feb. 5,2006)--2月の第1日曜日、Schwarz!各国山岳部隊による合同演習が行われた。

 Schwarz!山岳部隊は、リネアクターとして当時の装備に身を包み、定期的に訓練を行っている。

「リネアクトとは再現する時代及び部隊の装備を実際に身にまとい、当時の兵士たちがどのような思いで活動したかを実際に体験することである」と山岳部隊指揮官マウントバッテン中佐は言った。

 今回の作戦に参加したのは、アメリカ陸軍第10山岳師団、イギリス陸軍第52ローランド山岳師団及びNo.3コマンドゥ、そしてドイツ山岳猟兵各2名の合計6名だ。

「ドイツ軍山岳猟兵としての活動は既に経験済みだが、連合軍山岳部隊を含んだ活動は今回が初めてである」とマウントバッテン中佐は言った。

 コマンドゥは、後に各国特殊部隊の祖となり、アメリカも、陸軍レンジャー部隊、海兵隊レイダース部隊を編制する際、参考にしたことで知られる。

 第10山岳師団は、第2次世界大戦における活動期間は短いものの、それでもイタリア戦線で活躍し、戦後、有名なブラック・シーの戦いで包囲孤立化した特殊部隊員の救出を行い、21世紀になってからはアフガニスタンで本来の能力を発揮して活動を続けている。

 山岳部隊は、各自の装備を着用した後、それぞれの計量を行った後に山道へと踏み入った。

「これは苦行だ」とコマンドゥの衣装に身を包んだブラバム軍曹は苦笑した。「もし単なる山歩きを楽しみたければ、このような姿をする必要はない」

 各自は、それぞれ個人兵装に加え、山岳リュック、そしてライフルを携行する。

「一番の問題は靴です」と第10山岳師団のヨハン一等兵は言った。「革の靴は鋲が打たれて重く、また凍った斜面では足を滑らせる」

 山道自体に難所は無かった。残雪は無く、気温も摂氏5度。だが、隊員たちの疲労は次第に蓄積されていった。

 最初で最後の難関となる急勾配の道に差し掛かったとき、懸念していた問題に行き当たった。日中も、日が差さず、また人も滅多に踏み入ることのない斜面は凍結していた。

 ここで各自の靴が問題となった。鋲の打たれた靴底は、凍った斜面を歩くには全く適さず、部隊は仕方なく迂回路を取るしかなかった。

「目的地までは後少しでした。しかし、思っていた以上に凍結はひどかった」とヨハンは言った。「ここまでの進路は予想に反して雪も無く凍結も少なかったのですが、最後の最後で行く手を阻まれてしまいました」

「アイゼンがあれば登攀は不可能ではありません。しかし、その時、アイゼンの準備は十分ではなかったため、目的地を変更するしかありませんでした」と"ドイツ山岳猟兵のページ"管理人でもあるノルト上級曹長は言った。

 部隊はやむなく新たな進路を取った。

 登攀開始から、三時間。部隊は第2目標地点に到着した。

「リネアクトのもう一つの重要な点は当時の兵士たちの糧食を再現することでもある」とマウントバッテン。

 ドイツパン、サラミソーセージ、チーズ、レバーペースト、コーヒー、そしてスープが用意された。

 気温は次第に下がり、ついにはマイナスとなっていた。日没前に帰還するために予定されていた撮影を開始する。

 帰りの道で、再び部隊は凍結した斜面に悩まされた。しかし、幸いにも誰一人負傷する者も無く無事に帰還することができた。

「第1目標地点に到達できなかったのは残念だ。だが、我々は再び戻ってくるだろう。そのときこそ、目標地点への到達を成功させるだろう」

 マウントバッテンが言うように、山岳部隊はまだ見ぬ第1目標地点到達への決意を固めていた。


Photos included with story:

2006020502

Caption:

出発前の打ち合わせをする第10山岳師団ヨハン一等兵とイギリス軍コマンドゥ旅団ブラバム軍曹。第10山岳師団は1942年に誕生し、1945年にイタリアでドイツ軍と戦った部隊。コマンドゥは、敗退する以外無かった時期にドイツ軍に一矢報いた勇猛果敢な部隊。

Photo by:Cpl.Kease

2006020501

Caption:

斜面を登るSchwarz!山岳ユニットの面々。山岳部隊の責任者ノルト曹長は百名山登頂を目指すベテランである。

Photo by:Cpl.Kease

2006020503

Caption:

小休止中のキース伍長とヨハン一等兵。キース伍長はM1943フィールドジャケット、ヨハン一等兵はマウンテンジャケットを着用している。

Photo by:Sgt.Brabham

2006020504

Caption:

出発を促すマウントバッテン。マウントバッテンの背負うのはイギリス軍コマンドゥの用いた背嚢である。なお、正式な部隊名称は、第52ローランド山岳師団第155南スコットランド歩兵旅団第4キングス・オウン・スコティッシュ・ボーダラーズ大隊という。

Photo by:Cpl.Kease

2006020505

Caption:

第2目標地点で食事を取るドイツ山岳猟兵のノルト曹長とルドルフ一等兵。残念なことに、登攀斜面の凍結により、第1目標に達することはできなかった。

Photo by:Cpl.Kease

2006020506

Caption:

休息の後、下山を開始する。気温は既にマイナス1度となっている。ヨハン一等兵の着るマウンテンジャケットは重ね着を前提に作られ、後にM1943フィールドジャケットの開発の際に参考にされたものでもある。

Photo by:Cpl.Kease

2006020507

Caption:

凍った斜面は登り以上に、下山する山岳部隊を悩ませる。鉄鋲の打たれた靴底は容易に足を滑らせる。

Photo by:Cpl.Kease

2006020508

Caption:

難所を終えた所で立ち止まる。下山の時間は、実際の行程を示すように僅かしか掛からなかった。ヨハン一等兵の背負うのは初期型のマウンテンリュック。今回、リュックとフレームを固定するストラップが外れやすいという初期型の欠点が判明した。こうした欠点を実感するのもリネアクトの一つである。

Photo by:Cpl.Kease

2006020509

Caption:

ベースキャンプに設置したヴィッカース湯沸かし器で哨戒に当たるコマンドゥ。数百発の連続発射で紅茶を淹れるために最適なお湯を作ることができるという優れた湯沸かし器であり、また機関銃としても使用できる。イギリス軍は、この湯沸かし器を第1次世界大戦から、60年代に至るまで使用を続けた。

Photo by:Cpl.Kease

2006020510

Caption:

ブラバム軍曹がヴィッカース湯沸かし器で警戒に当たる。本体と三脚それぞれでも相当の重量を持つために運搬は車両に頼らざるを得なかったが、前線で戦う多くの兵士に紅茶を提供することができた。一説によれば、敵に向けて銃弾を浴びせるために用いられたとも伝えられる。

Photo by:Cpl.Kease

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